2020年2月3日、東京都渋谷区から大きな方針転換が発表されました。これまで長谷部健区長が「制度に反対の立場」を表明し、一線を画してきた「ふるさと納税」へ、2020年度より正式に参加するというニュースです。長年、渋谷区の姿勢を支持してきた方々にとっては驚きの展開と言えるでしょう。
そもそも「ふるさと納税」とは、自分の選んだ自治体に寄付を行うことで、居住地の税金から一部が控除される制度のことです。しかし、本来地元に支払われるはずの税収が流出してしまうという側面も併せ持っています。実際に、渋谷区から他自治体へ寄付する区民が増加したことで、2019年度の税収減は23億円に達するという事態となりました。
長谷部区長が「もはや看過できるレベルではない」と語った通り、このままでは地域の行政サービスを維持するための貴重な財源が、ますます目減りしかねないという切実な危機感があったのではないでしょうか。制度の本質的な是非はさておき、現実的な自治体経営の舵取りとして、参加という決断に至った判断は極めて妥当であると考えます。
渋谷ならではの「体験型」返礼品で勝負
気になる返礼品ですが、渋谷区はモノを贈る従来型とは一線を画す「コト消費」を掲げています。具体的には、区内ホテルの宿泊券や地元の有名飲食店で利用できる食事券などが検討されています。ただ寄付を募るのではなく、実際に渋谷を訪れてもらうことで、街の魅力を肌で感じてもらう狙いがあるのです。
さらにユニークなアイデアとして、眺望抜群の屋上テラスの貸し切りや、年越しの大イベントである「渋谷カウントダウン」会場への特別席確保といった、渋谷でしか味わえない限定体験も構想されています。まさに、観光都市・渋谷のブランド力を最大限に活かした戦略と言えるでしょう。
SNS上では、「渋谷の返礼品が体験型なのは納得」「税収流出を防ぐための現実的な一手」といった前向きな意見が見られる一方、「制度そのものには疑問が残る」といった慎重な声も上がっています。こうした議論の渦中にあるからこそ、渋谷区はあえてこの制度に参加し、あるべき姿を全国に問いかけようとしています。
2020年7月ごろの受付開始を目指し、初年度は1億円の寄付獲得を目標としています。過度な返礼品競争には一線を画し、渋谷の価値を届けるこの試みが、制度のあり方に一石を投じるきっかけになることを期待したいものです。
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