物流大手のヤマトホールディングスが、大きな転換期を迎えています。2020年1月30日に発表された2019年4月から12月期の連結決算は、純利益が314億円と前年の同じ時期に比べて27%も減少する厳しい結果となりました。ネット通販などを利用する大口の取引先が他社へ流れてしまった影響により、主力の宅配便の取扱量が落ち込んでいます。同社は2020年3月期の通期純利益の予想も、従来の見通しから120億円下方修正して200億円になる見込みだと明かしました。
こうした苦境を乗り越えるため、ヤマトは2020年4月からインターネット通販の配送に特化した全く新しいネットワークの構築へ着手します。長尾裕社長は2020年1月23日に都内で開かれた記者会見において、現在のEC化、つまりインターネットを通じてモノを売買する市場の拡大に合わせた最適なサービスへと生まれ変わる必要があると、強い危機感をあらわにしました。これまでの「荷物を一律に届ける」仕組みから脱却する、創業以来の大改革が今まさに始まろうとしています。
SNS上では「最近アマゾンの荷物がヤマト以外で届くことが増えたと感じていたけれど、決算にも影響が出ていたのだな」と納得する声が上がっています。また「再配達の負担を減らすためにも、新しい試みを応援したい」といった好意的な意見も散見されました。近年のネット通販では、玄関先などに荷物を置く「置き配」が普及しているように、手渡しを必要としない荷物が増加しています。これらを全て自社のドライバーが運ぶのは、コストや時間の面で非効率という課題がありました。
そこでヤマトは、通販の荷物を全国の主要な拠点までは自社で運び、そこから先の実際の配達は地域の外部業者へ委託する仕組みを導入します。これにより、配送にかかる費用を大幅に抑えることが可能になるでしょう。長尾社長は、提供するサービスの内容に見合った適正な価格設定を行うべきだと主張しています。ライバルである佐川急便の親会社は、費用対効果の観点からアマゾンの荷受けを制限しましたが、ヤマトは安価な新体制を築くことで需要を取り込む道を選びました。
この改革は、巨大ECサイトを運営するアマゾンとの絆を再び強めるためのメッセージと言えます。かつて価格交渉や自社配送網の構築を進めるアマゾンに対し、ヤマトは値上げを断行して一時は距離が生まれました。しかし、日本全国を網羅する強固な物流インフラを自前で用意するのは容易ではありません。長尾社長は会見の数日前にアマゾンジャパンを訪れて自らこの計画を説明しており、効率的な新システムを通じて良好な協力関係を再構築しようとする狙いが透けて見えます。
さらに今回の構造改革には、自社の配達員を「丁寧な対面サービス」や「企業向けの営業」といった、ヤマトならではの強みが活きる業務に集中させる意図もあります。今後は、壊れやすい品物や大切なプレゼントなどを責任を持って手渡しで届ける機会が増えるでしょう。私は、この戦略こそが他社との最大の差別化になると確信しています。単に荷物を右から左へ流すだけでなく、人と人とのつながりを重視する原点回帰の姿勢は、長期的なブランド価値を高めるはずです。
市場からは「投資家が抱いていた懸念に対する明確な答えが示された」と、この変革を前向きに捉える声が上がっています。ヤマトは2024年3月期までに営業利益を1200億円以上に引き上げるという、現在の予想の約3倍に匹敵する野心的な目標を掲げました。この大胆な方針転換が功を奏し、収益構造が劇的に改善されれば、企業としての評価はさらに揺るぎないものになるに違いありません。日本の物流を支える王者の新たな挑戦から、今後も目が離せません。
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