長引く低金利政策によって、地方銀行を取り巻く経営環境は2020年も厳しい逆風が吹き荒れそうです。こうした苦境を乗り越えるため、地銀同士が手を取り合う統合や合併の動きが加速することは間違いありません。しかし、今まさに業界の「台風の目」となっているのは、これまでの常識を覆す異業種からの参入です。
SNS上でも「これまでの古い銀行のやり方では限界がある」「IT企業と組んだ方が面白いサービスが生まれそう」といった、変革を期待する声が多数上がっています。これまでの金融界では、経営難に陥った地銀を救うのは同じビジネスモデルを持つ有力な地銀であると考えられてきました。しかし、大手地銀とて余力があるわけではありません。
そんな中、新たな救世主として躍り出たのがSBIホールディングスです。同社は自らの出資によって地銀をグループ化し、金融とITを融合させた「フィンテック」の最先端技術を導入する「地銀連合構想」を掲げています。これは、スマートフォンアプリでの便利な資産運用などを可能にし、地銀を再び成長軌道に乗せる画期的な戦略です。
2019年11月には福島銀行の加藤容啓社長がSBIからの出資受け入れを表明し、記者会見で「銀行同士の提携ではビジネスモデルの変革に限界がある」と強い危機感を露わにしました。これに先立つ2019年9月には島根銀行もSBIとの提携を決めており、従来の枠組みを超えた異業種主導の再編が本格的な幕を開けています。
一方で、ライバル同士が生き残りをかけて手を組む動きも無視できません。地銀最大手の横浜銀行と3位の千葉銀行は、2019年7月に業務提携を発表しました。さらに2019年9月には福井銀行と福邦銀行、2019年10月には青森銀行とみちのく銀行が相次いで提携へと舵を切り、地域の競合行が生き残りのために合流しています。
こうした動きを、国の機関である金融庁も強力に後押しする方針です。2020年の通常国会には、同じ県内の地銀が統合しやすくなる独占禁止法の特例法案が提出される予定となっています。これは地域でのシェアが高くなりすぎても、経営統合を例外的に認めるという、これまでの規制を大きく緩和する画期的な試みです。
さらに金融庁は、将来の収益力に不安がある約10行の地銀を抽出し、集中的に対話を行う「早期警戒制度」による監視も強化します。これは事実上の再編圧力とも言えるでしょう。私自身の視点としても、預金を集めて貸し出すという従来の銀行のビジネスモデルは、もはや地方の人口減少と低金利の前では機能しないと感じます。
これからの地方銀行に求められるのは、単なる規模の拡大ではなく、異業種のノウハウを取り入れた「利便性の高いサービスへの刷新」です。SBIや東海東京フィナンシャル・ホールディングスといった証券側の勢力がもたらす新しい風が、地域の経済と住民の生活をどう豊かに変えていくのか、2020年の動向から目が離せません。
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