ファッションを愛する人々にとって、冬の訪れは本来であれば心躍る季節のはずです。しかし、現在の衣服ビジネスを取り巻く環境には、かつてないほどの激しい向かい風が吹き荒れています。消費税率が引き上げられたことに加え、大型台風の直撃や記録的な暖冬が重なり、多くのショップが頭を抱えているのが現状なのです。お気に入りのアウターを新調しようという購買意欲も、例年より暖かい気候のせいで少しトーンダウンしているのかもしれません。
実際にカジュアル衣料で広く知られる「しまむら」では、2019年10月に上陸した台風19号の影響により、全国の店舗で合計945日分もの臨時休業を余儀なくされました。その結果、同月の既存店売上高が前年の同じ時期と比べて9%も減少するという深刻な事態に陥っています。2年連続で続く暖冬の影響もあり、業界内からは「これほどまでに悪条件が重なるのは経験がない」という悲鳴にも似た声が上がっているほどです。
フリマアプリの王者が救世主に?渋谷から始まる驚きの共同戦線 こうした苦境を乗り越えるため、東京のトレンド発信地である「SHIBUYA109」が、非常にユニークな一手を打ち出しました。なんと、中古品売買のプラットフォームとして圧倒的なシェアを誇る「メルカリ」とタッグを組んだのです。これまでは、個人間で安価に服が取引されるセカンドハンド(中古)市場の拡大は、新品を売るアパレル企業にとって顧客を奪い合う天敵と目されていました。しかし、彼らはその存在を排除するのではなく、共生する道を選んだのです。 具体的には、2020年1月2日より109の館内に臨時の特設スペースが設置されました。そこでは、購入したばかりの洋服をその場で撮影し、梱包して発送できる仕組みが整えられています。SNS上でもこの試みは大きな話題を呼んでおり、「福袋を買ってその場でお直し感覚で出品できるのは効率が良すぎる」「これならハズレを恐れずに買い物ができる」といった、好意的な反響や驚きの声が続々とタイムラインを賑わせています。 実際に現地を訪れた女性客は、福袋の中身のうち自分には合わないと感じたアイテムを熱心に撮影していました。彼女は「5点のうち2点くらいは好みに合わないこともあるので、すぐに手放せるこのスペースは本当にありがたい」と笑顔で語っています。中身が分からないワクワク感を楽しむ一方で、無駄を出したくないという現代のスマートな消費者の心理に、この連動企画は見事にフィットしていると言えるでしょう。 編集部が読み解く「所有から循環へ」シフトする衣服の価値観
私自身、この大胆な試みはアパレル業界が生き残るための「大正解のルート」だと確信しています。今の若い世代は、服を一度買ったら着潰すまで所有するのではなく、着なくなったら売ることを前提に買い物を楽しんでいます。最初からリセールバリュー(再販価値)を計算に入れて新品を購入しているのです。そのため、売りやすい環境を公式が提供することは、結果として「それなら安心して109で買い物をしよう」という実店舗への集客力へと繋がります。
政府はキャッシュレス決済によるポイント還元などで景気の下支えを試みていますが、衣料品の消費を劇的に回復させるまでには至っていません。これからの時代、ブランド側はただ単にトレンドの服を作って並べるだけでは生き残れないでしょう。地球規模の気候変動による気温変化に柔軟に対応した商品展開はもちろんのこと、購入されたその先の「手放す瞬間」までをデザインするような、新しいビジネスモデルへの転換が強く求められています。
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