2019年11月29日の東京株式市場において、衣料品チェーン大手である「しまむら」の株価が大幅に下落しました。一時は前日と比較して410円安の8730円を記録し、約2カ月ぶりの低水準に沈む形となっています。この背景には、主力業態の既存店売上高が3カ月連続で前年を下回ったという衝撃的な発表がありました。SNS上でも「しまむらの冬服、まだ出番がなさそう」「増税の影響をじわじわ感じる」といった消費者のリアルな声が散見され、厳しい現状が浮き彫りになっています。
今回の不振に追い打ちをかけたのが、2019年11月の異例の暖かさです。日中の気温が高く推移した影響で、本来なら稼ぎ頭となるはずの中綿ジャケットやタイツといった防寒衣料の動きが鈍くなりました。アパレル業界にとって、天候は売上を左右する最大の変動要因ですが、今回はそれが裏目に出た格好です。さらに2019年10月の消費増税以降、消費者の財布の紐が固くなっている状況も、しまむらのような手頃な価格帯を強みとする企業にとって大きな逆風となっています。
証券会社の厳しい評価と構造的な課題
市場のムードをさらに冷え込ませたのは、ゴールドマン・サックス証券による投資判断の引き下げでした。2019年11月28日付のリポートでは、投資判断が「中立」から最下位の「売り」へと転落しています。ここで注目すべきは「構造要因による減益局面」という指摘です。これは単なる天候不順だけでなく、近年の電子商取引(EC)の台頭による競争激化が、しまむらのビジネスモデルに根本的な揺さぶりをかけていることを意味しています。
しまむら側は、プライベートブランド(PB)の拡販や値引きの抑制によって、2020年2月期の純利益を前期比47%増と強気に予測しています。しかし、株価の割安さを示す指標であるPER(株価収益率)が同業他社に比べて低いにもかかわらず、買いが入らない現状は深刻です。PERとは「現在の株価が利益の何倍か」を表す尺度ですが、これが低いまま放置されているのは、投資家たちが会社側の出した増益シナリオを「実現困難」だと疑っている証拠に他なりません。
個人的な見解として、しまむらは今、まさに変革の瀬戸際に立たされていると感じます。実店舗での「宝探し」のような体験は魅力的ですが、デジタルシフトが加速する中で、EC対応の遅れが成長の足かせになっている印象は拭えません。安さだけでなく、しまむらでしか買えない付加価値をどう構築するかが、今後の反撃の鍵を握るでしょう。「株価の底が見えない」という市場の悲観論を覆すには、抜本的な戦略のアップデートが急務といえそうです。
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