「娘がパジャマのまま一日中過ごしていてだらしがない」と、ため息をつくシニア世代の女性がいます。部屋のホコリがついた服で布団に入るのが許せないという親世代に対し、若い世代はそれを「ルームウェア」として合理的に楽しんでいるようです。時代の変化とともに、衣類の境界線は曖昧になってきました。このライフスタイルのギャップは、ネット上でも「うちも同じ理由で怒られた」「部屋着のまま寝られるのは楽で良い」など、若者世代を中心に多くの共感と反響を呼んでいます。
実は、かつて百貨店などの定番だったパジャマ売り場は縮小傾向にあり、現在は部屋着としても使えるカジュアルウェアが市場を席巻しています。そして、この「寝室と居間を同じ格好で過ごす」というスタイルを本当に必要としているのは、若者ではなく高齢者や介護の現場なのです。施設では、着替えのままベッドに入り、リハビリや散歩もこなすのが日常となっています。介護士の負担軽減や、度重なる着替えに対応するためには、この効率的なスタイルが不可欠だと言えるでしょう。
しかし、高齢者が本当に使いやすい工夫が施された部屋着は、驚くほど市場に出回っていません。排泄の失敗や食べこぼしが頻発する介護の現場では、高級な「リハビリウェア」は敬遠されます。激しい洗濯に耐え、最悪の場合は使い捨てにできるような、汚れが落ちやすいシンプルな化学繊維の生地が理想的です。さらに、お腹を締め付けず、握力が低下した指先でも簡単に着脱できる柔らかいウエストゴムや、大人用おむつが収まるゆったりした腰回りの設計が求められています。
ここで注目したいのが、身近な量販店の存在です。2020年1月14日現在、業績悪化がささやかれる「しまむら」のようなプチプラブランドが、こうしたシニア向け衣料に注力すれば、新たな活路が開けるのではないでしょうか。若者向けの華やかな服も魅力的ですが、自立して暮らす高齢者も実は下半身のデリケートな悩みを抱えています。こうした隠れたニーズに応える服作りは、高齢化社会における企業の社会的責任であり、大きなビジネスチャンスです。
私自身、介護は綺麗事だけでは済まない現実の連続だと痛感します。だからこそ、高価な専門衣料ではなく、安価で機能的な「プチプラのシニア向けルームウェア」が身近な店舗で買えるようになるべきです。それこそが、介護する側とされる側の双方の笑顔を増やす鍵になるはずです。福祉の世界を足元から支えるような、優しくて実用的なファッションの選択肢が、日本の衣料品店をもっと豊かに彩っていく未来を心から期待せずにはいられません。
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