2019年12月06日、東南アジアの熱気あふれるベトナム・ホーチミンに、待望の「ユニクロ」1号店が産声を上げました。世界で25番目の進出国となった今回の出店は、単なる店舗オープン以上の意味を持っています。SNSでは「ついにベトナムに来た!」「行列がすごそう」といった歓喜の声が溢れ、現地での期待感は最高潮に達しているようです。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、自ら現地入りして「若いエネルギーに満ち、飛躍的な成長が期待できる」と太鼓判を押しました。広島での1号店誕生から35年。満を持して選んだ場所は「ベトナムの銀座」と称される一等地の百貨店「パークソン」内です。周辺には高級ブランドが並び、まさに国の勢いを象徴するスポットと言えるでしょう。
岐路に立つ百貨店と「専門店化」への加速
しかし、この華やかな出店の裏側には、小売業界の劇的な変化が隠されています。ユニクロがテナントとして入った「パークソン」は、かつて隆盛を誇った名門百貨店ですが、ネット通販の台頭や周辺の競合施設によって苦戦を強いられています。かつて自ら商品を仕入れて販売していた百貨店も、現在は有力な専門店を招致する不動産型経営への転換を余儀なくされているのです。
ここで言う「自社編集の売り場」とは、百貨店のバイヤーが独自の感性で商品を選び、販売する形態を指します。いわば百貨店のプライドとも呼べる部分ですが、時代の変化とともに、その役割は終わりを迎えつつあります。中国や日本でも同様の現象が起きており、あらゆる物が揃うはずの「百貨」という言葉は、今やインターネットの世界へと主役を譲ってしまいました。
私は今回の進出を見て、小売業界の「成熟」のスピードが極めて速まっていると感じます。かつては経済発展に合わせて段階的に消費文化が育ちましたが、現代はデジタル化により、世界中で同時に流行が共有されます。日本で起きた百貨店の苦境が、わずか10年足らずでベトナムでも再現されている現実は、非常に興味深くも厳しい時代の流れを感じさせます。
消費者の感覚が世界規模で均質化する中で、ブランドの真の価値が問われています。ユニクロの進出は、アジア全体における小売業の序列を塗り替える決定打となるかもしれません。2019年12月、ベトナムの地で刻まれた新たな歴史の1ページは、私たちが慣れ親しんだ「買い物」の定義を根本からアップデートしようとしているのです。
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