福島・相馬の至宝「青ノリ」を守り抜け!台風19号の流木被害に立ち向かう漁業者たちの絆と復活への挑戦

福島県相馬市が誇る海の至宝、青ノリの養殖がかつてない危機に直面しています。2019年10月に列島を襲った記録的な台風19号により、市内の宇多川と小泉川が氾濫しました。その濁流とともに、大量の流木や木くずが養殖の拠点である松川浦へと流れ込み、美しい漁場を埋め尽くしてしまったのです。12月から予定されている試験操業を控え、地元の生産者たちは今、必死の思いで復旧作業に当たっています。

松川浦の青ノリ養殖には、明治時代から続く深い歴史があります。もともとは製塩が盛んな地でしたが、時代の変化とともに「ヒトエグサ」という種類の青ノリ生産へと舵を切りました。ヒトエグサとは、芳醇な香りと鮮やかな緑色が特徴の海藻で、佃煮や味噌汁の具材として広く親しまれている逸品です。東日本最大級の産地として知られるこの場所は、まさに地域の誇りそのものと言えるでしょう。

しかし、今回の台風は漁師たちの想像を絶する爪痕を残しました。松川浦には約2500基もの養殖網が仕掛けられていますが、押し寄せた木くずがこの網に絡みつき、ノリの成長を妨げているのです。この事態に対し、相馬双葉漁業協同組合の生産者約70名が総出で立ち上がりました。2019年11月28日現在、連日のように舟を出し、手作業で異物を取り除く過酷な「撤去作戦」が展開されています。

SNS上では、この懸命な姿に対して「相馬の青ノリをまた食べたい」「自然の猛威に負けないでほしい」といった温かい声援が数多く寄せられました。一粒一粒の木くずを網から外す作業は、気が遠くなるほどの忍耐を必要とします。それでも漁師たちが手を止めないのは、これまで何度も困難を乗り越えてきた自負があるからに他なりません。

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震災を乗り越えた「不屈の魂」が品質を守る

振り返れば、相馬の漁業は2011年の東日本大震災、そして原発事故という二重の苦しみを味わってきました。津波による設備の流失だけでなく、放射性物質への対策や心ない風評被害によって、一時は生産中止を余儀なくされたのです。2010年には約43万キロあった水揚げ量も、現在は震災前の2割程度にとどまるなど、厳しい道のりが続いてきました。

それでも、2018年2月には徹底したモニタリングと安全性の追求を経て、ようやく試験操業による出荷を再開させました。「相馬の宝を絶やしてはならない」という悲願が実を結んだ瞬間です。そんな矢先の台風被害でしたが、漁協理事の佐藤裕巳さんは、地域がより一層団結していることを強調しています。苦難を共に乗り越えた仲間との絆が、今の彼らを支える大きな原動力となっています。

2019年9月には、さらなる飛躍を目指して「松川浦復興再生協議会」が発足したばかりでした。これは単にノリを作るだけでなく、観光と連携して地域全体を盛り上げようとする希望の象徴です。福島県全体での漁業被害は8500万円を超える甚大なものですが、相馬の漁師たちは決して下を向きません。品質を落とさないことこそが、支援してくれる人々への恩返しだと信じているからです。

編集者としての私見ですが、自然災害は時に残酷ですが、それを乗り越えようとする人間の意志こそが、食材に「物語」という付加価値を与えるのではないでしょうか。手作業で丁寧に守られた今年の青ノリは、例年以上に深い味わいになるに違いありません。私たち消費者にできる最大の応援は、彼らが守り抜いた最高級の青ノリを、感謝の気持ちと共に美味しくいただくことだと強く感じます。

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