2019年10月12日に日本列島を襲った記録的な豪雨、台風19号が各地に甚大な爪痕を残しています。住宅被害の状況が明らかになるにつれ、浸水被害に遭った家庭の約9割が「床上」や「床下」の浸水に分類されていることが判明しました。一見すると救済が進むように思えますが、実はここには被災者を苦しめる高いハードルが存在しているのです。
現在の日本の制度では、被災者生活再建支援法という法律に基づいて公的な支援金が給付されます。しかし、この支援を受けるためには原則として住宅が「全壊」や「大規模半壊」と認定される必要があるでしょう。具体的には床上1メートル以上の浸水がひとつの基準となっており、このラインを下回ると給付対象から外れてしまう可能性が極めて高いのです。
SNS上では、この厳しい判定基準に対して「家財道具がすべて泥水に浸かったのに、数センチ足りないだけで支援が受けられないのか」といった悲痛な声が相次いでいます。泥をかき出し、消毒を繰り返す過酷な作業に追われる被災者にとって、センチメートル単位で線引きされる現状は、あまりにも過酷な現実として突きつけられているのではないでしょうか。
実情とかけ離れた判定基準が突きつける課題
専門家からは、被災現場の実情と行政の判定基準に大きなズレが生じているとの指摘が上がっています。床上浸水が発生すれば、畳や断熱材は水を吸って使い物にならなくなり、壁の張り替えや基礎の洗浄も不可欠です。たとえ浸水の深さが浅かったとしても、生活基盤を立て直すために必要な修繕費用は数百万円単位に及ぶことも珍しくありません。
そもそも「全壊」や「半壊」という言葉は、罹災証明書(りさいしょうめいしょ)と呼ばれる書類を発行する際に使われる区分です。これは自治体が被害の程度を公的に証明するもので、税金の減免や保険金の請求に欠かせません。しかし、現在の基準は建物の構造的な損傷を重視しすぎており、生活の継続性という視点が欠けているように感じられます。
私自身の見解としても、気候変動により災害が激甚化している2019年10月24日現在の状況下で、古い基準を墨守し続けることには疑問を禁じ得ません。泥水が一度でも室内に侵入すれば、衛生面でのリスクや精神的なショックは計り知れないものです。数字上の深さだけで被災者の苦しみを測るのではなく、より柔軟で血の通った支援体制の構築が急務でしょう。
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