九州の未来を左右する「長崎新幹線」の整備問題が、新たな局面を迎えました。2019年12月11日、佐賀県の山口祥義知事は東京都内で赤羽一嘉国土交通相と会談し、膠着状態にあった新鳥栖―武雄温泉間の整備方式について、事務方レベルで協議の進め方を確認することで合意しました。
これまで佐賀県側は、国や長崎県、JR九州が求める「フル規格」での整備案に対し、強い警戒感を示してきました。フル規格とは、時速260キロメートル以上で走行可能な専用の線路を敷設する方式のことですが、これには巨額の建設費負担や並行在来線の経営分離といった、地元にとって重い課題が伴うからです。
「フル規格ありき」からの脱却と歩み寄り
山口知事は、協議のテーブルに最初から「フル規格前提」という答えが用意されていることに反発してきました。しかし今回の会談では、国交省側が「佐賀県のやりやすい方法で進める」と柔軟な姿勢を見せたことで、ようやく対話の窓口が開かれた印象を受けます。強硬姿勢から一転、議論の進め方を検討するという「半歩」の前進は、大きな意味を持つでしょう。
SNS上では「佐賀県が折れるのか」「地元の負担を考えれば慎重になるのは当然だ」といった多様な意見が飛び交っています。利便性を求める長崎県側と、コストや地域への影響を懸念する佐賀県側の温度差は依然として激しく、ネット上でもこの整備方式を巡る論争は絶えません。
編集部としては、国が「スケジュールありき」ではなく、佐賀県の真意を汲み取る姿勢を見せたことを評価したいと考えます。インフラ整備は100年先の街の形を決めるものです。強引に予算を計上して進めるよりも、時間はかかっても相互の信頼関係を構築することこそが、最終的に九州全体の利益に繋がるのではないでしょうか。
2020年度の環境アセス予算は見送りの公算
一方で、具体的なスケジュールには遅れが生じそうです。新幹線の建設に不可欠な「環境影響評価(アセスメント)」、つまり工事が自然環境に与える影響を事前に調査する手続きの費用について、2020年度予算への計上は事実上見送られる見通しとなりました。
国交省側は予算編成の期限ギリギリまで調整を続ける構えですが、水嶋智鉄道局長は「当事者である佐賀県の理解が得られないままの計上は難しい」と明言しています。これは、国側が佐賀県への配慮を優先した結果であり、強行突破を避けた現実的な判断と言えるでしょう。
今後、協議の進め方がどのように文書化され、納得感のある議論が展開されるのかが焦点となります。新幹線という夢の超特急が、地域の分断を生むのではなく、九州一丸となって喜べる形で結実することを切に願わずにはいられません。
コメント