2020年2月6日、自動車業界に大きな変革の風が吹き始めました。トヨタ自動車が発表した、電気自動車(EV)の使用済み電池を家庭などで有効活用する新しい仕組み作りです。これまでEVの普及において大きな壁となっていた「電池のコスト問題」を、家庭用蓄電池として再利用することで打破しようという画期的な試みです。パナソニックや中部電力なども参加を予定しており、再生可能エネルギーの普及を強力に後押しするプロジェクトになるでしょう。
蓄電池とは、いわば「電気の貯金箱」です。自宅の太陽光発電などでつくった電力をためたり、電力需給に合わせて柔軟に制御したりできるため、エネルギー効率を劇的に高めることができます。しかし、高性能な蓄電池は価格が非常に高く、家庭への普及がなかなか進まないという課題がありました。そこでトヨタは、EVの役目を終えた電池を「中古の蓄電池」としてリーズナブルに導入できる仕組みを構築しようとしているのです。
災害時も安心!家庭の電力インフラを変えるEV電池
具体的には、2020年末に発売を予定している1~2人乗りの超小型EVから、この電池規格が導入されます。計画されている電池ユニットのサイズは縦90センチ、横60センチ、高さ13.5センチほどで、容量は8キロワット時を見込んでいます。これは、災害時に照明や携帯電話の充電に限定して使用すれば、2日間から3日間は生活を維持できるだけの心強い容量です。
このニュースを受けてSNS上では、「車が家庭の電源になる未来がついに来た」「電池を使い回すという発想がエコで素晴らしい」といった期待の声が数多く上がっています。使い古された電池が、今度は家族の暮らしを守る頼もしいパートナーとして生まれ変わる。まさにサーキュラーエコノミー(循環型経済)を体現するような動きに、多くのユーザーが注目しているようです。
コスト低減と環境保全の「一石二鳥」を狙う
トヨタは、電池の出力や容量、耐久性能などの下限をあらかじめ設定する規格づくりを進めています。電池ユニットには充放電回数や走行距離を記録する装置が搭載され、回収時に劣化状況を細かく検査します。まだ十分な能力があれば他の車両やシェアリングカーへ、劣化が進んでいれば家庭用や送配電網向けの蓄電池へと、適材適所で再活用していく方針です。
私が特に素晴らしいと感じるのは、この取り組みが「EV開発の効率化」にも直結している点です。現在はメーカーごとに電池の規格がバラバラで、車体との組み合わせに多大なコストがかかっています。しかし、統一規格ができれば、車と電池を別々に開発・製造できるようになり、結果としてEV全体の価格低下にもつながります。環境負荷を減らしつつ、製品を安く提供する。この循環こそが、真の意味でEVを一般大衆へ普及させる鍵となるはずです。
ちなみに専門用語として、文中に出てきた「車載電池」について補足します。これは自動車の動力源となるリチウムイオン電池などの総称で、現在、市販されているEVの車両価格の実に1割から3割を占めると言われるほど高価な部品です。イギリスの調査会社IHSマークイットによれば、2025年には世界で約880万台のEVが生産される見通しです。巨大な市場に成長する今だからこそ、こうして使用済み電池の出口戦略を今のうちに確立しておくことは、極めて重要な経営判断と言えるでしょう。
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