東京商品取引所(東商取)が2019年6月3日に発表した2019年5月の取引実績は、前年同月比で33%という大幅な売買高の減少を示しました。総売買高は133万7,825枚(枚は最小取引単位)に留まり、これで7カ月連続で前年同月の実績を下回るという厳しい結果になっています。この取引低迷の背景には、相場の値動きが極めて乏しかったことが挙げられます。特に、取引の中心である貴金属や石油製品の市場の動きが鈍かったことが、大きく影響を与えていると見て間違いないでしょう。
相場(そうば)というのは、商品の価格が日によって変動する様子のことですが、この変動が小さい、すなわち「値動きが乏しい」状況が続くと、差益(価格の差から生まれる利益)を狙った取引が成立しにくくなり、投資家の取引意欲が低下します。このため、東商取全体の売買高が減少してしまうという構図です。この結果を受けて、SNS上では「商品の値動きがなさすぎて面白くない」「リスクが低いのはいいが、リターンも期待できない」「いつになったら市場は活気を取り戻すのか」といった、市場の冷え込みを嘆く声が多数上がっている状況です。
分野別の内訳を見ると、主要な取引対象である貴金属は前年同月比で27%減の92万2,110枚という結果になりました。貴金属の代表格である「金」が取引の減少を招いた要因ですが、一方で白金(プラチナ)の売買高は前年同月比で57%増加しており、相場の下落傾向を背景に活発な取引が行われました。しかし、この白金の増加分をもってしても、主要商品である金の取引の落ち込みを補うことはできませんでした。
また、石油製品の取引も同様に振るわず、前年同月比で54%減の26万1,026枚という結果に終わっています。こちらは、特に原油の取引が大きく落ち込んだことが響きました。原油や石油製品の取引は、地政学的なリスクや世界経済の動向に左右されやすいため、現在の世界情勢において投資家が様子見の姿勢を取っている可能性が指摘されます。
私見ではありますが、市場の関心と資金が、より値動きの激しい株式や為替などの他の金融商品に流れている可能性は高いでしょう。商品先物取引は、インフレヘッジ(インフレによる資産価値の目減りを防ぐ手段)やリスク分散の手段として非常に重要ですが、短期的な利益を追求する投資家にとっては、現在の東商取の「値動きの乏しさ」は魅力に欠けると言わざるを得ません。東商取としては、市場の透明性の向上や新たな魅力的な商品の導入など、投資家を惹きつけるための施策が喫緊の課題となるでしょう。今後の市場の動向について、引き続き注視してまいります。
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