新出生前診断のルール作りは急務!厚労省と学会の対立から考える「命の選択」と向き合う社会のあり方

お腹の中に宿った新しい命の健やかな成長を願うのは、すべての親に共通する切実な思いでしょう。2019年07月10日現在、妊婦さんの血液を採取するだけで胎児の染色体異常を高い精度で調べられる「新出生前診断(NIPT)」をめぐり、大きな波紋が広がっています。この検査は、ダウン症候群など特定の染色体疾患の可能性を判断するものですが、その手軽さの一方で、倫理的な課題やサポート体制の不備が浮き彫りとなっています。

現在、この検査を実施できる医療機関の認定基準をめぐって、日本産科婦人科学会(日産婦)と厚生労働省の意見が衝突する事態に発展しました。日産婦はより多くの妊婦さんが検査を受けられるよう、人員配置などの条件を緩和した「連携施設」を新設する方針を打ち出しました。これにより、実施施設は現在の約90カ所から一気に倍増する見込みでしたが、この「規制緩和」に対して、国や他の専門学会が待ったをかけたのです。

厚生労働省が慎重な姿勢を見せている背景には、十分な説明がないまま検査だけが普及することへの強い危機感があります。染色体異常、つまり細胞内の遺伝情報を持つ構造体の数や形に変化がある場合、将来どのような医療や福祉の支援が必要になるのか、深い理解が欠かせません。こうした専門的な知識を伝え、家族の不安に寄り添う「遺伝カウンセリング」の質が確保されないまま検査数だけが増えるのは、非常に危うい状況といえるでしょう。

SNS上でもこのニュースは大きな注目を集めており、「近くで受けられるようになるのは助かる」という期待の声がある一方で、「安易な中絶につながらないか不安」「検査結果を知った後のフォローこそが重要なのに」といった切実な意見が交わされています。命の選別につながりかねないという懸念は根強く、技術の進歩に社会のルールや私たちの心の準備が追いついていない現状が、リアルな言葉として溢れ出しています。

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専門家組織の足並みの乱れと、国の介入がもたらす未来への議論

今回、日産婦は理事会で新指針を正式決定したものの、厚労省からの要請を受けて運用を保留するという異例の展開を迎えました。日本小児科学会などの関連団体からも、相談体制の手薄さを心配する声が上がっており、専門家同士の意思疎通がスムーズにいっていない様子が伺えます。当事者である妊婦さんを置き去りにしたまま、組織間の不信感だけが募ってしまうような事態は、一刻も早く解消されなければなりません。

こうした混乱を受け、政府は2019年の秋頃に新たな検討会を立ち上げる方針を固めました。学会独自のルール作りには限界が見えており、国が前面に出て法整備を含めた議論を主導することは、極めて妥当な判断だと私は考えます。単に検査の可否を決めるだけでなく、遺伝子解析技術が飛躍的に進化する未来を見据えて、科学の光をどのように社会へ取り入れるべきか、今こそ腰を据えて話し合うべき時が来ているのです。

私は、この問題の本質は「障害を抱える人やその家族が、どれだけ安心して暮らせる社会か」という点に集約されると感じています。検査技術が普及したとしても、どのような命であっても尊ばれ、適切な支援が受けられる土壌があれば、親たちが追い詰められることは少なくなるはずです。新出生前診断の是非を問うことは、私たちがどのような社会を築きたいのかという、未来への意思表示そのものに他ならないのではないでしょうか。

今後は、2019年07月10日現在の対立を乗り越え、妊婦さんが安心して情報を得られる体制の構築が何よりも優先されます。国による検討会では、医療従事者だけでなく、福祉の専門家や当事者の声も広く取り入れ、誰もが生きづらさを感じない社会の実現に向けた、温もりのあるルール作りを期待してやみません。技術の進歩がもたらす恩恵が、すべての命を祝福する方向へと向けられることを願うばかりです。

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