2019年07月10日、ハンセン病患者の家族が国に損害賠償を求めた訴訟において、歴史的な進展が見られました。熊本地裁が国に対して賠償を命じた判決について、政府が控訴を断念する方針を固めたのです。この決断は、長年苦しんできた被害者家族にとって、ようやく国がその責任を認めた大きな節目となるでしょう。
旧優生保護法による強制不妊手術の被害者支援を続ける新里宏二弁護士は、今回の政府の動きを注視してきました。新里氏は、家族が受けてきた筆舌に尽くしがたい苦難を思えば、控訴の断念は至極当然であると厳しく指摘しています。国による隔離政策は、患者本人だけでなく、その周りにいる家族の人生をも深く傷つけてきた事実は否定できません。
SNS上でもこのニュースは瞬く間に拡散され、多くの方々が「ようやく光が見えた」と安堵の声を寄せています。一方で、これまでの放置があまりに長すぎたのではないかという批判も少なくありません。国家という大きな力が個人の尊厳を蔑ろにした結果、失われた歳月は取り戻せませんが、せめて正当な補償と謝罪が行われるべきだという意見が目立ちます。
ここで改めて「ハンセン病家族訴訟」について解説しましょう。これは、かつての誤った隔離政策によって「感染者の家族」というだけで差別を受け、就職や結婚を妨げられた方々が起こした裁判を指します。裁判所が家族への被害を認めたことは、人権という観点から見ても画期的な判断と言えるのではないでしょうか。
旧優生保護法訴訟への影響と残された課題
この決定を受けて、期待と複雑な思いが交錯しているのが「旧優生保護法」を巡る裁判の原告たちです。旧優生保護法とは、特定の疾患や障害を理由に、本人の同意なしに不妊手術を強制することを認めていた過去の法律です。2019年05月、仙台地裁はこの法律に基づく賠償請求を棄却しており、現在も厳しい法廷闘争が続いています。
仙台での裁判で敗訴した60代女性の義姉は、ハンセン病訴訟での勝訴を喜びつつも、自分たちの境遇との差に悔しさを滲ませています。同じように国によって家族を持つ権利や個人の尊厳を奪われたにもかかわらず、司法の判断が分かれている現状に戸惑いを隠せないようです。被害者の心情を思えば、この不条理な格差には胸が締め付けられます。
新里弁護士は、今回のハンセン病訴訟の成果を、旧優生保護法訴訟にも反映させていく決意を固めています。家族を形成する権利、すなわち誰と生き、どのように子供を設けるかという根源的な自由が侵害された点は共通しています。私は、国が一部の被害者だけでなく、すべての過ちに対して平等に誠実な対応を見せるべきだと強く感じます。
これからの日本が真に人権を尊重する国を目指すのであれば、過去の過ちを徹底的に検証し、偏見の解消に全力を注ぐ必要があります。単なる金銭的な解決にとどまらず、社会全体に根付いた差別意識をどう払拭していくかが問われているのでしょう。全ての被害者が救済されるその日まで、私たちはこの問題を注視し続けなければなりません。
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