アジアのインフラ開発を牽引する中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)が、新たなステージへと踏み出しました。2019年07月11日、ルクセンブルクにおいて金立群総裁が日本経済新聞のインタビューに応じ、これまでの米ドル中心の融資体制から一歩踏み出し、インドやトルコを含む計5カ国を対象に、現地通貨建てでの融資を2019年07月から開始する方針を明らかにしました。
この「現地通貨建て融資」とは、お金を借りる国が、自国の通貨で返済できるように資金を提供することを指します。通常、国際的なインフラ事業では米ドルが使われますが、返済時に自国の通貨が安くなってしまうと、実質的な借金額が膨れ上がってしまうリスクがありました。今回の取り組みは、そうした為替の変動に左右されず、新興国が安心して道路や鉄道などの巨大なプロジェクトを推進できる環境を整える画期的な試みといえるでしょう。
SNS上では、この大胆な方針に対して「借り手側の負担を考慮した現実的な支援策だ」と評価する声が上がる一方で、「ドル依存からの脱却を狙う政治的な意図があるのではないか」といった鋭い分析も飛び交っています。経済的な利便性と国際政治のパワーバランス、その両面から注目を集めているのが現状です。専門的な視点で見れば、これは借り手の「為替リスク」、つまり通貨の価値が変わることで損失を被る可能性を極限まで抑えるための高度な戦略といえます。
筆者の個人的な見解としては、AIIBが「貸し手」としての都合だけでなく、開発途上国の持続可能な発展に寄り添う姿勢を見せた点は非常に好ましいと感じます。急激な通貨安に苦しむ国々にとって、自国通貨で資金を調達できるメリットは計り知れません。もちろん、AIIB自身が抱えることになる為替変動の管理という課題は残りますが、この柔軟な姿勢こそが、既存の国際秩序に新しい風を吹き込む鍵になるのではないでしょうか。
2019年07月のスタートを皮切りに、この動きは他の新興国へも波及していくことが予想されます。需要開拓という側面でも、米ドル建ての融資に二の足を踏んでいた国々を取り込む強力なフックとなるに違いありません。国際金融の勢力図が塗り替えられようとしている今、私たちはこの動向から目が離せません。各国のインフラがどのように変化し、人々の暮らしにどう還元されていくのか、その行く末を静かに見守っていきたいところですね。
コメント