アジアの中でも活気あふれるイメージの強い台湾ですが、その裏側で若者たちが深刻な雇用不安に喘いでいます。台湾の総務省統計局に相当する主計総処が発表した最新のデータによれば、2019年01月から2019年05月までの平均失業率において、20歳から24歳の層が11.7%という驚くべき数字を記録しました。30歳以上の層が2%から3%程度で推移している状況と比較すると、若年層の苦境がいかに際立っているかが浮き彫りになっています。
この「失業率」という言葉は、働く意欲を持ちながらも職に就けない人の割合を指しますが、台湾の20代にとっては単なる統計上の数字以上の重みを持ちます。せっかく大学を卒業しても、2018年時点での大卒初任給は2万8849台湾ドル、日本円に換算してわずか約10万円という水準に留まっているからです。物価上昇が続く中で、この賃金設定では自立した生活を送ることさえ容易ではありません。こうした経済的な圧迫が、若者たちの心を暗く影を落としているのでしょう。
待遇改善を求めた転職の連鎖と、新天地としての海外進出
少しでも良い条件を求めて、短期間で職を転々とする若者が後を絶たないのが現状です。しかし、現在の市場環境において、より高い給与や優れた福利厚生を備えた理想的な仕事に巡り合うのは、決して簡単なことではありません。SNS上でも「一生懸命勉強して大学を出たのに、これでは将来に希望が持てない」といった嘆きや、「今の台湾に留まるべきか、外へ出るべきか」という切実な悩みが多く見受けられ、社会全体に閉塞感が漂っています。
編集部としての見解ですが、この状況は台湾だけの問題ではなく、高度経済成長を終えたアジア諸国が共通して抱える構造的な課題ではないかと感じます。若者のエネルギーが国内で適切に循環せず、外へと向かわざるを得ないのは、国家にとって大きな損失ではないでしょうか。現状を打破するために、企業側も単なるコストカットではなく、未来への投資として若者の待遇改善に踏み切る勇気が求められています。今まさに、台湾の雇用システムは大きな転換期を迎えていると言えるでしょう。
国内でのキャリアアップに限界を感じた結果、多くの若者が視線を注いでいるのは「海外での就職」という選択肢です。自国の市場に見切りをつけ、より高い報酬を求めて周辺諸国や欧米へ飛び出していく動きは、もはや一時的なブームではなく、生存戦略の一環となっています。彼らが身につけたスキルをどこで発揮するのか、そして台湾政府がこの人材流出にどのような策を講じるのか、2019年のアジア情勢を占う上で非常に重要なポイントになりそうです。
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