金属市場に激震が走っています。ステンレス鋼の主原料として欠かせないニッケルの国際価格が、約1年ぶりとなる高値圏へ突入しました。指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物価格は、2019年07月16日に1トン当たり1万4070ドルを記録し、わずか1カ月前の安値から20%以上も急騰したのです。
翌日の2019年07月17日夕刻時点でも、価格は1万4100ドル前後という高水準を維持しています。この急激な値動きの背景には、世界最大の鉱石生産国であるインドネシアでの供給不安があるでしょう。主要な産地であるスラウェシ島において、2019年06月中旬に発生した記録的な豪雨と洪水が、物流や生産体制に大きな影を落としています。
マクロ経済の追い風と供給リスクが交差する市場の現在地
投資家たちの動きを加速させているのは、自然災害だけではありません。米国における利下げ観測が強まったことでドル安が進行し、割安感の出たコモディティ(商品)市場へ投機的な資金が流入しています。株高という地合いの良さも相まって、ニッケル相場はまさに「買いが買いを呼ぶ」熱狂的な展開を見せているのが現状です。
SNS上でもこの高騰は大きな話題となっており、「ステンレス製品のコストアップが心配だ」といった実需面での懸念や、「これほど短期間で2割も上がるとは予想外だ」という驚きの声が相次いでいます。電気自動車(EV)の電池材料としても注目されるニッケルだけに、将来的な需要拡大を見越した強気な意見も散見されるほどです。
しかし、手放しでの楽観視は禁物だといえます。中国の新車販売が減速傾向にあるなど、実際の製造業における需要には不透明感が漂っているからです。住友商事グローバルリサーチの本間隆行氏も、当面は1万3000ドルから1万4000ドルのレンジで推移すると予測しており、さらなる一段高には慎重な見方を示されています。
編集部としては、今回の高騰は一時的な供給不安にマクロ経済の思惑が重なった「バブル的側面」が強いと感じています。実体経済の冷え込みというリスクを抱える中で、どこまでこの勢いが続くのか注視すべきでしょう。資源価格の変動は私たちの生活に直結する重要なトピックであるため、今後もLMEの動向から目が離せそうにありません。
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