大学全入時代と言われる現代において、多くの私立大学が定員確保に頭を悩ませています。しかし、広島経済大学が選んだ道は、あえて合格者を絞り込むという極めて異例の「戦略的定員割れ」という手法でした。2019年07月20日、同大学は今春の入試において、実に7年ぶりに定員を上回る新入生を迎え入れたことを明らかにしました。これは単なる偶然ではなく、数年にわたる苦渋の決断と改革が実を結んだ結果といえるでしょう。
かつての地方大学では、定員を満たすために合格ラインを下げ、一人でも多くの学生を確保することが一般的でした。しかし、同大学は学生の質を担保するため、入試で6割以上の得点がなければ合格としない厳格な基準を設けました。この方針によって、一時的には定員に満たない年度が続くことになります。いわば、目先の経営的な安定よりも、教育機関としてのプライドと将来的な信頼を選び取ったのです。こうした「我慢」の時期が、現在の飛躍を支える土台となりました。
ブランド価値を高めた「量より質」の徹底とSNSでの反響
この大胆な戦略は、SNS上でも大きな注目を集めています。「定員割れを恐れずに質を追う姿勢は、結果的に受験生にとっての憧れになる」といった好意的な意見が目立ちます。中には「名前さえ書けば受かる大学とは一線を画している」という、大学のブランドイメージ向上を肌で感じる声も上がりました。偏差値などの数字だけでは測れない、教育に対する真摯な姿勢が、ネットを通じて若い世代にもポジティブに伝わっている様子が伺えます。
専門的な用語で言えば、これは「アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)」の徹底と言い換えることができるでしょう。大学がどのような学生を求めているのかを明確にし、基準に達しない場合は無理に中に入れないという勇気ある決断です。この姿勢が教育界に浸透するにつれ、高校側の評価も「広経大はしっかりと勉強しなければ入れない大学」へと変化しました。結果として、より志の高い受験生が集まり、志願者数の増加と学力の底上げという好循環を生み出したのです。
編集者の視点から見れば、この取り組みはまさに「逆転の発想」によるブランディングの成功例だと感じます。多くの大学が生存戦略として規模の維持に走る中、自らの価値を下げる安売りを拒否した同大学の覚悟には敬服いたします。一時的な赤字や批判を恐れず、長期的な視点で「卒業生の質」を見据えることこそが、地方大学が生き残るための唯一の正解なのかもしれません。この成功体験は、同様の悩みを抱える全国の大学にとって、一石を投じる希望の光となるはずです。
2019年07月20日現在、広島経済大学のキャンパスは活気に満ち溢れ、新入生たちは厳しい選考を突破したという自信を持って学業に励んでいます。大学側が「質」を確保するために耐え忍んだ時間は、今や揺るぎない「信頼」という形に姿を変えました。定員割れというネガティブな言葉を、戦略という名の武器に変えた同大学の挑戦。教育の質を追求し続けるその姿勢が、これからの大学経営におけるスタンダードになることを切に願っています。
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