あえて「不便」にするから面白い?博報堂と京大が挑む「不便益」マーケティングの新潮流

2019年09月18日、大手広告代理店の博報堂が、これまでの常識を覆すユニークなマーケティング手法の提案を開始しました。それは、あえて「不便さ」を取り入れることで商品やサービスの価値を高めるという驚きの戦略です。京都大学との共同研究から生まれたこの取り組みは、効率化ばかりが重視される現代において、一石を投じるものになるでしょう。

この手法の鍵を握るのが、京都大学の川上浩司特定教授が提唱する「不便益(ふべんえき)」という概念です。これは「不便だからこそ得られる利益」を指す言葉で、例えば、あえて手間をかけることで生まれる愛着や、工夫する過程で得られる発見の喜びなどを意味します。SNS上でも「確かに便利なものより、少し手がかかるキャンプ道具や文房具の方が愛着がわく」といった共感の声が広がっています。

具体的な活用例としては、道案内用のデジタルサイネージ(電子看板)が挙げられます。あえて操作を複雑にしたり、情報を出し惜しみしたりすることで、利用者はパズルを解くような感覚で目的地を探す楽しみを享受できるのです。このように、ユーザーが能動的に関与する余白を残すことが、サービスの付加価値を最大化させる秘訣だといえるでしょう。

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常識を覆す「7つの不便指標」で顧客の心を掴む

博報堂は、企業が提供する既存サービスをあえて不便にするために、「情報を減らす」「限定する」「劣化させる」といった7つの指標を開発しました。これらを活用し、どのような不便さが顧客を惹きつけるのかを科学的に分析します。単に使いにくくするのではなく、心理的な充足感に結びつく絶妙なバランスを助言するのが、本プロジェクトの真骨頂です。

私は、この「不便益」の考え方は、デジタル化が進みすぎた現代における究極の贅沢だと考えています。指先一つですべてが完結する時代だからこそ、人間は自らの身体や頭脳を動かす手応えを求めているのではないでしょうか。利便性の追求はもはや飽和状態にあり、今後は「適度な不自由」を楽しめる余白を持ったブランドが、ファンを根強く定着させていくに違いありません。

もちろん、ただ不便なだけでは顧客が離れてしまうリスクも孕んでいます。本末転倒な結果を避けるためにも、ターゲット層がどこに価値を見出すのかを正確に見極める洞察力が、今後のプロモーションには不可欠でしょう。効率を捨てて得られる「心の豊かさ」が、これからのビジネスシーンにおける新たな競争力の源泉となっていくことが期待されます。

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