医療の現場において、臓器移植は常に時間との過酷な闘いです。特に肝臓は、心臓が停止した瞬間から急速に状態が悪化してしまうため、移植可能な状態を維持するのが極めて困難な臓器として知られてきました。しかし、2019年07月24日、慶応義塾大学の小林英司特任教授らの研究チームが、この常識を覆す画期的な新技術を発表し、大きな注目を集めています。
これまでの常識では、ドナーの心臓が止まってからわずか5分程度で肝臓を取り出さなければ、移植には使えないと考えられてきました。肝臓の内部には網目のような非常に細かい血管が張り巡らされており、血流が途絶えるとすぐに細胞の壊死が始まってしまうからです。さらに、血管内で血液が固まる「血栓」ができやすいことも、心停止後の移植を阻む大きな壁となっていました。
今回、小林教授らが開発したのは、血液に近い成分を持つ特殊な培養液を臓器内に循環させ、「鮮度」を保つという驚きのシステムです。実験では、心停止からあえて1時間を経過させたブタの肝臓を使用しました。特殊なチューブと装置を用いて、細胞を育てるための培養液に赤血球などを配合した独自の液体を流し込んだところ、驚くべきことに移植を受けたブタはすべて生存したのです。
「培養液(ばいようえき)」とは、本来、細胞が生きるために必要な栄養素や酸素を補給するための液体のことを指します。今回の技術は、いわば臓器を体外で「生かし続ける」ような仕組みといえるでしょう。SNS上では「これが実用化されれば、救える命が劇的に増えるはずだ」といった期待の声や、「医療テクノロジーの進化に驚かされる」という感動のコメントが数多く寄せられています。
私自身の見解としても、この技術は日本の移植医療におけるドナー不足問題を解決する「ゲームチェンジャー」になると確信しています。日本では心停止後の臓器提供は行われていますが、肝臓はその繊細さゆえに断念されるケースも少なくありません。もし1時間という猶予が生まれれば、これまで諦めていた貴重な臓器を次なる命へと繋ぐことができ、救護の選択肢が飛躍的に広がることでしょう。
もちろん、現在は動物実験の段階であり、今後は人間への応用に向けて循環させる液体の成分をさらに精査していく必要があります。チームは2019年07月24日時点の発表において、さらに長時間が経過した後でも移植を成功させる手法の検討を進める方針を示しました。一分一秒を争う移植医療の最前線で、この技術が希望の光となる日は、そう遠くない未来にやってくるに違いありません。
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