【南シナ海問題】フィリピン漁船沈没!中国船の「衝突・立ち去り」に高まる緊張とドゥテルテ政権の苦悩:リードバンクを巡る新たな火種

2019年6月9日、南シナ海のリードバンク周辺海域で、フィリピンの漁船が中国の漁船に衝突され、沈没するという衝撃的な事件が発生いたしました。フィリピン政府が6月13日に明らかにしたところによると、停泊中だったフィリピン漁船に中国漁船が衝突し、そのまま現場から立ち去ったというのです。この一連の行為は、国際的な慣例である人命救助義務に反する無責任な行動であり、非常に許しがたい出来事でしょう。

幸いなことに、海に投げ出されたフィリピン人乗組員22人は、近くを航行していたベトナム船によって全員無事に救助されました。人命に関わる重大な事態であったにもかかわらず、救助活動を放棄した中国漁船とは対照的に、ベトナム船による迅速な対応は称賛に値するものです。フィリピン政府は、この衝突事件を受けて外交ルートを通じて中国に厳重な抗議を実施いたしました。

事件が発生したリードバンクは、天然ガスや石油などの天然資源(天然に存在する有用な物質やエネルギー源)が豊富に埋蔵されていると考えられている海域です。このため、フィリピンと中国をはじめとする周辺国が領有権(ある領域を支配する権利)を主張し、激しく争っている係争地でもあります。中国船がこの海域を頻繁に航行している実態が、今回の衝突事件の背景にあると言えるでしょう。

この事件に対するフィリピン国内の反発は強く、独立記念日であった6月12日には、首都マニラで中国漁船の衝突に抗議するデモが巻き起こりました。フィリピン軍は現時点では「故意ではなかった」との見方を示していますが、パネロ大統領報道官は6月13日の記者会見で、「もし意図的だったのであれば、国交を断絶することも有り得るだろう」と述べ、中国に対する強い非難の姿勢を明確にしています。これは、フィリピン国民の怒りが頂点に達しつつあることの表れだと考えられます。

ドゥテルテ大統領は、中国からの経済的な支援を引き出すことを優先し、南シナ海問題を棚上げ(問題の解決を一時的に見送ること)して中国に接近する外交戦略を採ってきました。しかしながら、中国は海洋進出の動きを決して緩めておらず、フィリピンが実効的に支配しているパグアサ島周辺では、今年に入ってから多数の中国船が確認されています。今回のリードバンクでの衝突事件も、両国間に新たな緊張と火種(対立や紛争の原因)をもたらすことは避けられないでしょう。

このニュースに対するSNSでの反響は非常に大きく、「人命を顧みず立ち去るなんて信じられない」「これは単なる事故では済まされない国際問題だ」「ドゥテルテ大統領の対中融和路線は限界ではないか」など、中国への批判とフィリピン政府への対応を求める声が多数投稿されています。今回の事件は、フィリピンが抱える南シナ海問題の複雑さと、中国との関係構築の難しさを改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。一刻も早い事実究明と、再発防止に向けた国際的な協調が強く求められます。

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