2019年07月23日、総務省から今年度の「普通交付税」に関する算定結果が発表されました。これを受けて北関東3県における自治体の台所事情が浮き彫りになっています。注目すべきは、国からの財政支援に頼らずに運営できる「不交付団体」の数でしょう。今回の発表によると、茨城、栃木、群馬の3県で自立を維持した自治体は6市町村にとどまり、昨年度と比較して1つの自治体がそのリストから外れる結果となりました。
ここで重要なキーワードとなる「普通交付税」とは、どの地域に住んでいても一定水準の行政サービスを受けられるよう、国が自治体の財源不足を補うために配分するお金のことです。つまり、これを受け取らない「不交付団体」は、自前の税収だけで運営が賄える、いわば財政的な「優等生」といえます。しかし、地域経済の波はこの安定した地位をも容易に揺さぶるようです。SNS上では「自分の街が自立しているのは誇らしい」という声がある一方で、交付団体への転落を懸念する意見も散見されました。
栃木県上三川町の変化と北関東3県の配分額
今回の算定で最も大きなトピックとなったのは、栃木県上三川町が2年ぶりに交付団体へと転じたことではないでしょうか。同町には日産自動車の大きな工場が構えていますが、関連企業の業績が伸び悩んだことで、自治体の貴重な財源である「法人住民税」などの収入が減少してしまいました。企業城下町としての強みが、景気変動の局面ではそのまま財政の脆さにつながってしまうという、地方自治体が抱えるリアルな課題が露呈した形といえるでしょう。
各県への配分総額を見ていくと、県ごとの明暗がはっきりと分かれています。2019年度の茨城県への交付額は前年度比1.2%増の1702億3400万円、栃木県は3.0%増の1207億4000万円となりました。これに対し、群馬県は0.7%減の1224億5100万円という結果です。群馬県に関しては、県全体としての財政需要に対して、算出される税収等のバランスが相対的に改善したことが、この微減の背景にあると推測されます。
市町村レベルでの配分総額に目を向けると、3県すべてで前年度を上回る規模となっています。茨城県内の市町村には1.9%増の1381億3800万円、栃木県では1.2%増の725億6600万円、そして群馬県では1.5%増の995億5400万円が割り当てられました。編集部としては、交付税が増えることは行政サービスの維持に直結する一方で、地域の稼ぐ力が鈍化しているサインとも受け取れるため、手放しでは喜べない複雑な状況だと感じています。
北関東の経済は、製造業の動向に大きく左右される構造を持っています。今回の上三川町の事例は、一企業の業績が地域全体の財政基盤を揺るがしかねないことを改めて教えてくれました。今後、各自治体が特定の産業に依存しすぎない多様な財源確保をいかに進めていくのか、その手腕が問われることになるでしょう。地域の活力を維持し、再び「不交付団体」を増やしていけるのか、これからの北関東の踏ん張り時に注目が集まります。
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