2019年6月8日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の開幕に先立ち、開催地である福岡市で、国際課税に関するシンポジウムが行われました。このシンポジウムでは、日本、アメリカ、中国をはじめとする主要国の閣僚が一堂に会し、「デジタルエコノミーへの対応」という現代の大きな課題に立ち向かう、新しい国際課税ルールの確立について、熱い議論が繰り広げられたのです。G20は、この新ルールを2020年末までに最終合意させるという非常に高い目標を掲げており、議長を務めた麻生太郎財務大臣は、目標達成に向けて各国が協調して取り組むことの重要性を強く呼びかけられました。
討議には、G20主要国から財務大臣らが出席し、特に焦点となったのは、巨大なグローバル企業、とりわけ巨大なIT企業が、ビジネスを行っている場所ではなく、税率の低い国に利益を移すことで、結果的に実効税率(実際に企業が支払う税金の、所得に対する割合)を低く抑えている現状でした。これに対し、麻生財務大臣は、「税率が低いことに対する国民の不満やいらだちを背景に、一部の国が、巨大企業に対し暫定的に一方的な課税を導入する動きを見せている」と現状を指摘されました。そして、一国が単独で行動する「単独主義」ではなく、各国が共通のルールやアプローチを採用する「多国間主義」こそが望ましい道であると強く訴えられたのです。
この動きは、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。特に「巨大IT企業が、利益を出している場所で適正に納税していないのはおかしい」「デジタルサービスの恩恵を受けている国がしっかりと税収を得られるようにすべきだ」といった声が多数見受けられます。また、「2020年末までの合意は難しいのではないか」といった懐疑的な意見や、「各国の思惑が渦巻いている」といった冷静な分析も投稿されており、世間の関心の高さが伺えるでしょう。
G20財務相・中銀総裁会議では、このシンポジウムの議論を踏まえ、デジタルサービスの「利用者」が多くいる国に、現状よりも多くの税収を配分するように、国際課税ルールを見直すことで各国が一致しました。そして、国際的な経済連携の枠組みである経済協力開発機構(OECD)が作成した、今後の作業計画も承認される見通しとなっています。しかしながら、この新たな国際課税制度を具体的にどのように設計するか、という点については、参加国間でいまだに意見の溝があることも明らかになっています。
特に、アメリカのスティーブン・ムニューシン財務長官は、イギリスやフランスが導入を予定している、巨大企業に対する「一方的な課税」に対し、「差別的なアプローチは控えるべきだ」と懸念を示しました。これに対し、イギリスのフィリップ・ハモンド財務相は、「巨大なIT(情報技術)企業は、もちろん合法的なビジネスを行っているけれども、現在の税制が経済のデジタル化というスピードに追いついていないため、結果として納税しなくてよい状況が生まれてしまっている」と指摘し、制度の不備を訴える形となりました。
私見ですが、国際課税の公平性を追求するこのG20の取り組みは、グローバル化とデジタル化が進む現代において、極めて重要であると言えるでしょう。企業が国境を越えて容易に利益を移転できる現状は、各国が適正な税収を得られず、結果として公共サービスの維持に支障をきたしかねません。巨大IT企業を不当に「悪」と見なすのではなく、彼らのビジネスモデルに合わせた、より現代的で公平な国際ルールを多国間で構築することこそが、持続可能な世界経済の実現には不可欠だと考えられます。
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