公共放送のあり方が、今まさに大きな曲がり角を迎えています。日本放送協会(NHK)は2019年09月10日、テレビ番組をインターネットで放送と同時に流す「常時同時配信」に関する新たな実施基準案を明らかにしました。これまで議論の焦点となっていたネット業務の費用について、NHKは受信料収入の2.5%という上限を維持する姿勢を見せていますが、その内実には驚きの仕組みが隠されています。
今回の発表で最も注目すべき点は、国際放送に関連する費用などをこの「2.5%枠」から除外し、別枠として管理する方針を打ち出したことです。この別枠には最大で年間90億円もの予算が投じられる見込みとなっており、これを合算すれば、実質的には当初の約束であった2.5%という壁を大きく超える計算になります。ネット社会への対応を急ぐNHKの、なりふり構わぬ戦略が透けて見えるようです。
ここで言う「常時同時配信」とは、地上波などで放送されている番組を、スマホやPCを通じてリアルタイムで視聴できるサービスのことを指します。移動中やテレビのない部屋でも番組を楽しめる利便性がある一方で、その運営コストを誰がどのように負担するのかが長年の課題となってきました。今回の基準案は、そのコスト問題を「別枠」という手法で解決しようとする、非常に大胆な一手と言えるでしょう。
民放各社の反発とSNSで渦巻く期待と不安の大きな声
当然ながら、この方針に対して民放連をはじめとする民間放送局側からは、厳しい批判の声が上がることが予想されます。ネット市場において巨大な資本力を持つNHKが、ルールを事実上書き換えてまで活動を広げることは、公平な競争を妨げるのではないかという懸念があるからです。メディア業界全体のバランスを揺るがしかねないこの決定は、2019年09月現在の放送業界に激震を走らせています。
SNS上でもこのニュースは瞬く間に拡散され、多くのユーザーが反応を示しています。「スマホでNHKが見られるのは便利で嬉しい」といった期待の声がある一方で、「なし崩し的にネットからも受信料を取る布石ではないか」という警戒感も根強く見られました。特に「実質的な上限突破」という点については、公的な役割を担う組織としての透明性を問う厳しい意見が相次ぎ、ネット上の議論は熱を帯びています。
編集者の視点から言わせていただければ、NHKのネット進出自体は時代の流れとして必然です。しかし、既存のルールを骨抜きにするような予算編成は、国民の納得感を得るのが難しいのではないでしょうか。ネット配信が「放送の補完」なのか「新たな柱」なのか、その定義が曖昧なまま費用だけが膨らんでいく現状には危うさを感じます。利便性の向上だけでなく、負担のあり方についても誠実な説明が求められます。
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