2019年07月25日、日本陸上界のレジェンドである朝原宣治さんが、一冊の本との出会いによって自身の生命観を大きく揺さぶられた体験を明かしてくれました。その著書とは、分子生物学者である福岡伸一氏のベストセラー『動的平衡』です。朝原さんは本書を読み進める中で、生命とは個々のパーツが組み合わさった「機械」ではなく、絶え間なく変化し続ける「流れ」そのものであるという事実に深い感銘を受けたといいます。
ここで重要なキーワードとなる「動的平衡」とは、私たちの体を作っている分子が猛烈なスピードで入れ替わりつつも、全体として一定の状態を保っている現象を指します。つまり、昨日の自分と今日の自分は、物質レベルで見れば全くの別物であるという驚くべき考え方です。現役時代に己の肉体と極限まで向き合ってきたアスリートだからこそ、この「常に刷新され続ける生命」という概念が、理屈を超えた実感として胸に響いたのでしょう。
サプリメントへの違和感と「生命の全体性」への気づき
朝原さんは現役時代、特定の栄養素を抽出したサプリメントを摂取することに対して、どこか拭いきれない違和感を抱いていたと振り返ります。効率を重視して特定の物質だけを取り込む手法は、体を部分の集合体として捉える考え方に基づいています。しかし、福岡氏が提唱する「動的平衡」の視点に立てば、生命は複雑なネットワークの中で絶妙なバランスを保っているため、一部だけを操作しようとする試みがいかに不自然であるかが浮き彫りになります。
この深い洞察に対し、SNS上では「トップアスリートが科学的な視点から自分の感覚を言語化しているのが興味深い」「単なる根性論ではなく、生命の本質に根ざした調整法に納得した」といった共感の声が多数寄せられています。人間をパズルのピースのようにバラバラに分析するのではなく、丸ごとの「個」として、そして「流れ」として捉えることの重要性は、スポーツの世界のみならず、現代を生きる私たち全員にとっての健康哲学と言えるかもしれません。
編集者である私の視点から述べさせていただくと、朝原さんのこの気づきは、数値化できない「感覚」を大切にする一流の証だと感じます。データ全盛の時代だからこそ、生命が持つ動的なゆらぎや、自然界の循環の一部であるという謙虚な姿勢が、真の強さを生むのではないでしょうか。2019年07月25日現在、この知恵は多くのアスリートに新たな光を当てています。生命という壮大な流れに身を任せ、その調和を整えることこそが、最高のパフォーマンスへの近道なのかもしれません。
コメント