少子高齢化が加速する現代の日本において、女性の社会進出を支えるインフラとしての保育園整備は、単なる福祉施策を超えた「未来への人材投資」としての側面を強めています。2019年08月02日、東京大学の山口慎太郎准教授は、保育園の拡充が母親の働く意欲や実際の就業率にどのような影響を及ぼしているのか、その変遷について非常に興味深い分析結果を明らかにされました。
かつての1990年代を振り返ってみますと、実は保育園を増やしても母親の就業率が劇的に上昇するという現象はそれほど顕著ではありませんでした。なぜなら当時はまだ三世代同居などの大家族形態が多く残っており、保育園に頼らなくても「祖父母に子供を預ける」という代替手段が身近に存在したためです。このため、公的な保育サービスが提供されても、家庭内での育児リソースが単に置き換わるだけに留まる傾向が見られました。
しかし、時代は大きく変化し、2000年代以降は保育園整備による就業率向上への寄与が目に見えて強まっているという事実は注目に値するでしょう。核家族化の進展によって、かつてのような「おじいちゃん・おばあちゃんに預ける」という選択肢が失われた結果、母親が仕事を継続するためには保育園の存在が不可欠な「生命線」となったのです。この社会構造の変容こそが、保育所の価値を相対的に高めた最大の要因であると言えます。
「代替手段」の消失が問い直す、現代における保育インフラの決定的な役割
SNS上では今回の分析に対し、「自分の代では親に頼れないから保育園がなければ詰んでいた」「昔と今では子育ての前提条件が全く違う」といった、当事者世代からの切実な共感の声が多く寄せられています。専門用語で言うところの「代替可能性」が低下したことにより、国家による保育サービスの拡充がダイレクトに労働力の確保へと直結する時代に、私たちは今まさに立ち会っているのではないでしょうか。
私自身の視点から申し上げますと、保育園整備を単なる「ハコモノ行政」と捉えるのではなく、母親という優秀な労働資源が市場から失われることを防ぐ「経済的な防波堤」として評価すべきだと考えます。祖父母のサポートが期待できない孤独な育児、いわゆる「孤育て」を防ぐ意味でも、2019年現在の日本が直面している課題を解決する鍵は、やはり柔軟で質の高い保育環境の安定的な提供にあるのは明白です。
2019年08月02日時点でのこの知見は、今後の社会保障制度を設計する上で極めて重要な示唆を含んでいると確信しています。今後も山口准教授のような多角的な視点によるデータ分析を通じて、一過性の議論ではない本質的な子育て支援の形が模索されることを期待してやみません。単に預ける場所を作るだけでなく、それがどのように社会全体の活性化に結びつくのか、私たちは広い視野で注視していく必要があるでしょう。
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