東京都は2019年6月7日、都内の公衆浴場、いわゆる**「銭湯」の大人(12歳以上)の入浴料金について、現行の460円から10円引き上げ**、470円に改定する方針を明らかにしました。この新たな料金体系は、2019年10月1日から適用される予定です。5年ぶりとなる今回の価格改定の背景には、この秋に予定されている消費税率の引き上げと、銭湯の運営に欠かせないガスなどの燃料費の高騰があるとのことです。
公衆浴場の入浴料金は、一般的なビジネスとは異なり、経営者が自由に設定できるものではありません。これは「統制額」と呼ばれ、東京都知事が定めることが法律で義務付けられています。小池百合子知事は、すでに2019年2月の時点で、料金に関する検討を専門の協議会に要請しており、今回の値上げ決定はその結果を反映したものと思われます。銭湯の利用客、特に**「銭湯ファン」からは、生活費への影響を懸念する声とともに、「日本の大切な文化を守るためなら仕方がない」「たった10円の値上げで済むのはありがたい」といった、業界への理解を示す反響がSNS上でも見受けられました。
もちろん、全ての料金が引き上げられるわけではありません。子どもの料金については、6歳から11歳が180円、6歳未満が80円と、現行価格が据え置かれます。これは、子育て世帯への配慮や、若い世代にも銭湯文化に親しんでほしいという願いが込められていると推察されます。都心での生活では、自宅に風呂がない方も減っていますが、銭湯は単にお湯に浸かる場所というだけでなく、地域住民のコミュニケーションの場としての役割も担っているのです。
都内の銭湯数はピーク時の2割以下に! 文化継承が急務
東京都の発表によると、都内の公衆浴場の数は、2019年4月時点で537軒となっています。これは、最も軒数が多かった1968年の2,687軒と比較すると、実に8割も減少しているという厳しい現実を示しています。多くの方がご自宅に風呂を持つようになった現代において、銭湯経営は採算性の維持が非常に難しい状況にあります。今回の値上げは、この厳しい経営環境の中で、日本の「温浴文化」とも呼べる銭湯の灯を消さないための、「防衛的な措置」であると筆者は強く感じています。
そして、2020年に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックに向けて、銭湯業界は大きな期待を寄せています。彼らは、この国際的なイベントを絶好の機会と捉え、訪日外国人に対して、日本の独自の文化としての「SENTO」を積極的にPRしていく考えです。入浴料金は値上がりしますが、銭湯の持つ歴史的な魅力や、富士山のペンキ絵に代表される芸術性、そして地域に根差した温かい雰囲気**は、価格以上の価値を提供してくれるでしょう。この値上げが、日本の貴重な文化遺産である銭湯が、未来へと存続していくための活力となることを期待しております。
コメント