夏の暑い日、大型の商業施設に入った瞬間に冷えすぎていて驚いたり、逆にフードコートが熱気でムシムシしていたりといった経験はありませんか。そんな空調の「当たり前」を最新テクノロジーで解決する画期的な試みが、2019年08月02日に発表されました。三井不動産は、名古屋市港区に位置する「ららぽーと名古屋みなとアクルス」において、人工知能(AI)を駆使した全く新しい空調制御システムの稼働を開始したのです。
今回の取り組みで注目すべきは、AIが来館者の「服装」までもチェックして室温を調整するという驚きの仕組みでしょう。館内のフードコートなどに設置された高精度カメラが、人々の活動量をリアルタイムで把握します。さらにサーモカメラを用いることで、半袖を着ているのか長袖を羽織っているのかといった「着衣量」を推定するのです。これまでは一律に設定されていた温度が、その場にいる人々の装いに合わせて最適化される時代が到来しました。
竹中工務店と共同開発した「PMV空調」がもたらす究極の快適性
このシステムは、大手ゼネコンの竹中工務店と共同で開発された「PMV空調」と呼ばれる技術をベースにしています。PMVとは「予測平均温冷感申告」を指す専門用語で、人間がその空間でどれくらい快適に感じるかを数値化した指標のことです。室温や湿度、放射温度、気流、さらには代謝量と着衣量という6つの要素を複雑に組み合わせることで、単なる「温度設定」を超えた、人間中心の心地よい空間を作り出すことが可能になります。
さらにこのAIは、現在の状況だけでなく未来の予測も取り入れている点が非常にスマートです。施設内の人数だけでなく、外部の天気予報データも同時に解析することで、空調の効きすぎやパワー不足を未然に防ぎます。効率的なエネルギー運用を徹底した結果、年間の二酸化炭素(CO2)排出量を約30%も削減できる見込みとなっており、環境への配慮と利用客の満足度という、相反しやすい2つの課題を高い次元で両立させています。
SNS上では、「自分の服に合わせて空調が変わるなんて、まるでおもてなしを受けているよう」「広大なショッピングモールは温度管理が難しいから、こうした技術が広がるのは嬉しい」といった期待の声が次々と上がっています。また、環境意識の高い層からは、AIによるCO2の大幅削減についてもポジティブな反応が目立ちます。最新技術が私たちの日常をより快適に、そして地球に優しく変えていく様子を目の当たりにするのは、非常にワクワクする体験ではないでしょうか。
編集者の視点から申し上げますと、こうしたAIによる細やかな気配りこそが、今後のリアル店舗が提供すべき付加価値になるでしょう。インターネット通販が普及する中で、わざわざ足を運びたくなる場所とは、家よりも快適で過ごしやすい空間であるべきだからです。ただ涼しいだけでなく、「人を見て判断する」というAIの柔軟な対応は、商業施設のあり方を根本から変える可能性を秘めています。テクノロジーがもたらす優しさを、ぜひ現地で体感してみたいものです。
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