広島県福山市に拠点を置く飼料・畜産機器の倉田グループが、設立70周年の記念すべき節目に、鶏卵生産の新たなビジネスモデルである**「6次産業化」を本格始動させました。ここでいう「6次産業化」とは、農業・漁業などの1次産業者が、自ら生産した農林水産物を加工する2次産業、そして流通や販売を行う3次産業まで一体的に手掛けることで、より高い付加価値を生み出し、経営の安定を図る取り組みのことを指しています。同社は、傘下の鶏卵生産会社が産んだ卵を「厚焼き卵」に加工し、販売することで、市況商品である生卵の価格変動リスクを軽減し、収益の安定化を目指しているのです。
この新しい挑戦のため、倉田グループは総額で約1億7千万円という巨額の投資を行い、福山市の本社敷地内に最新鋭の加工施設を新設いたしました。これは、かつてペットフード製品の倉庫として利用されていた建屋を改装し、延べ床面積約330平方メートルの平屋建て加工場として生まれ変わらせたもので、自動焼成機や厳格な品質検査機器などを導入しています。特筆すべきは、この総投資額のうち3800万円が、農山漁村振興交付金として国が推進する6次産業化を支援する補助金で賄われている点であり、国もこの取り組みに期待を寄せていることがうかがえます。
🥚規格外卵に新たな命を吹き込む革新的な取り組み
加工の原材料として使用するのは、傘下の津口ファーム**(広島県世羅町)で生産される鶏卵のうち、殻にひびが入ってしまったり、残念ながらフンが付着してしまったりした**「低品質」とされる卵です。津口ファームでは、毎日約25万羽の鶏から約20万個(重量にして約12トン)もの大量の卵が産まれていますが、その約1割が低品質卵として扱われていました。倉田グループは、こうした市場に出回りにくい卵を仕入れ、高品質な厚焼き卵へと変貌させることで、廃棄ロスの削減と同時に、卵の付加価値を最大化することに成功するでしょう。
これにより、1日あたり約500キログラムの厚焼き卵が生産される見込みであり、これまで安価にしか取引されなかったり、場合によっては処分されたりしていた卵に、新たな収益源としての役割を与えることになります。これは、私が編集者として長年見てきた農産物の生産現場の課題に、非常に有効かつ革新的な答えを提示するものであると感じています。資源の有効活用という現代社会の要請に応えるだけでなく、畜産農家の経営を外部環境の変化に左右されにくい、持続可能なモデルへと進化させる契機となるに違いありません。
この厚焼き卵の生産を皮切りに、倉田グループは今年の秋には茶わん蒸し**の生産も計画しており、来年2020年以降も、取り扱い商品を順次拡大していく方針だそうです。このような段階的な事業展開は、市場の反応を見極めながら着実に基盤を固めていくという、堅実な経営戦略の表れだと評価できます。SNSでは、「規格外品を活用して付加価値を高めるのは素晴らしい」「地域経済の活性化にもつながる」といった期待の声が多く見受けられ、新たな食のトレンドとしても注目を集める可能性を秘めています。
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