2019年6月14日、財務省は財政投融資分科会を開催し、官民ファンドに対する監視体制を強化する内容の報告書を取りまとめました。これは、公的な資金である財政投融資(通称:財投)を活用して設立・出資されている官民ファンドの運営状況に問題が散見されることから、その透明性と健全性を高めるための重要な一歩と言えるでしょう。特に、国民の税金をもとにした資金を扱うファンドの杜撰な運用が指摘される中で、この監視強化は喫緊の課題だったと私は考えます。
今回の報告書に基づき、財務省は今後、財投から出資を受けているファンドに対し、その運営の根幹となる「基本指針」の取り決めを交わす方針です。この基本指針によって、ファンドの投資活動や経営戦略に一定の規律が設けられることが期待されます。注目すべきは、ファンドが抱える累積損失の解消に向けた取り組みが本格化する点です。具体的には、毎年の事業実績について厳正な審査が導入される見込みとなっています。
こうした監視強化の背景には、多額の累積損失を抱えるファンドの存在があります。たとえば、「農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)」は、現時点でおよそ92億円もの累積損失を計上していることが明らかになっています。このA-FIVEは、農林漁業の「6次産業化」を推進するために設立された、いわゆる官民ファンドの一つです。6次産業化とは、農林漁業者が単に生産(1次産業)を行うだけでなく、加工(2次産業)や流通・販売(3次産業)までを一貫して手掛けることで、より高い付加価値を生み出す取り組みのことを指します。その名の通り、産業の強化という重要なミッションを担うファンドですが、巨額の赤字を前に、その設立目的を果たせているのか疑問視せざるを得ません。
SNS上では、この財務省の動きに対し、「国民の血税が使われているのだから、もっと厳しくチェックすべきだ」「財投の無駄遣いを許してはならない」といった、ファンド運営への批判や監視強化への期待の声が多く見受けられます。一方で、「官民ファンドは民間では困難なリスクを取ってこそ意味がある。過度な締め付けはイノベーションを阻害するのではないか」という懸念の声も一部には存在しています。しかし、まずは多額の損失を発生させている現状を鑑みるに、規律の強化は避けられないでしょう。財政投融資は、郵便貯金や年金積立金など、国民の資金を原資としているため、「財投債」という形で市場から資金を調達するとはいえ、その運用には最大限の責任と透明性が求められます。
私は、今回の財務省の取り組みは、公的資金の適切な利用という観点から、非常に評価できるものだと考えます。官民ファンドが民間では担えないリスクマネーを供給し、産業の成長に貢献するという本来の役割を果たすためには、まずその経営基盤と運営の透明性が確保されなくてはなりません。基本指針の策定と実績の厳正な審査を通じて、ファンドのガバナンス(統治体制)が強化され、国民の納得のいく健全な運営が実現することを期待しています。
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