2011年3月11日に発生した東日本大震災および原発事故から歳月が流れ、日本の食の安全に対する信頼が世界各地で再び高まりを見せています。震災直後、多くの国々が日本の農水産物に対して厳しい輸入制限を課しましたが、その壁が今、着実に崩れつつあるのです。農林水産省をはじめとする政府の粘り強い交渉が、ようやく大きな実を結び始めたといえるでしょう。
2019年07月22日、中東の主要国であるアラブ首長国連邦(UAE)から、日本産食品に対する輸入規制を大幅に緩和するとの通知が届きました。これまで課されていた検査証明書の要求などが一部免除されることになり、現地の高級日本食レストランや市場で、より新鮮な日本の味を楽しめる機会が増えるはずです。こうした前向きな動きは、現地のバイヤーからも「待ち望んでいた決定だ」と歓迎されています。
今回のUAEの決定により、震災後に規制を導入した国々のうち、現在も何らかの制限を継続しているのは22カ国・地域となりました。SNS上でもこのニュースは話題を呼んでおり、「福島の桃や魚が海外で認められるのは嬉しい」「風評被害を乗り越える大きな一歩だ」といった、生産者を応援する温かいコメントが数多く寄せられ、多くのユーザーが日本の食の魅力を再認識しています。
ここで専門用語について解説しますと、「輸入規制」とは、他国からの食品の流入を制限する措置を指します。具体的には、放射性物質の検査証明書の添付を義務付けたり、特定の地域からの輸入を全面的に禁止したりすることです。これらを解除するためには、日本の食品が国際的な安全基準を十分に満たしていることを、科学的なデータに基づいて根気よく説明し続けなければなりません。
アジア市場への働きかけと、これからの展望
政府は現在、規制を継続している22カ国・地域の大半を占めるアジア諸国に対して、より重点的な働きかけを強めています。隣国である韓国や中国、台湾などは、日本の農産物にとって極めて重要な輸出先です。これらの地域で規制が緩和されれば、被災地の農業や漁業の復興はさらに加速するに違いありません。科学的根拠に基づいた冷静な判断が、国際社会全体に広まることが期待されています。
筆者の個人的な見解としては、食の安全は感情論ではなく、あくまで数字と事実で語られるべきだと考えます。UAEのような国が緩和に踏み切ったことは、日本の検査体制がいかに厳格で信頼に足るものであるかを証明する好例です。一部の国々が政治的な背景から規制を維持している現状は極めて残念ですが、世界が納得する透明性の高い発信を続けることが、最も確実な解決への近道となるはずです。
2019年08月05日現在の状況を鑑みると、日本の輸出戦略は大きな転換点を迎えているようです。今後は単に「安全であること」を主張するだけでなく、震災を乗り越えて作られた産品の「卓越した品質」をセットでアピールしていく攻めの姿勢が求められます。世界中の食卓に再び、福島の鮮やかな果実や東北の豊かな海の幸が並ぶ日は、すぐそこまで来ているのではないでしょうか。
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