2019年08月06日、経済産業省が打ち出した再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度(FIT)」の見直し方針が、業界に大きな衝撃を与えています。これまで一律に国が電力を買い取ってきた仕組みから、大規模な事業用太陽光と風力発電を対象外とする案がまとまったのです。これは日本の再エネ政策が、大きな転換点を迎えたことを意味しているでしょう。
そもそもFITとは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束した制度のことです。この仕組みのおかげで、コストの高い再エネ導入が急速に進んできました。しかし、今回の改革では、市場競争を促すために「FIP」と呼ばれる、売電価格に一定の補助を上乗せする新しい方式への移行が検討されています。
太陽光発電については、世界的にパネルの価格が下落し、すでに自立的な運営が可能な水準までコスト低下が進んでいます。多くの事業者がこの変化を織り込み済みで、FITからの卒業に向けた準備を整えてきた様子が伺えます。一方で、深刻な表情を隠せないのが風力発電事業者です。風力は太陽光に比べて導入が遅れており、目標値にも届いていないのが現状と言えます。
風力の建設には長い年月と莫大な投資が必要になるため、買い取り保証という「安全網」がなくなることへの不安は計り知れません。SNS上でも、「風力はまだ発展途上なのに厳しすぎるのでは」といった懸念の声や、「コスト意識が高まるのは良いことだ」という賛否両論の意見が飛び交っています。事業者の戸惑いは、今後の再エネ投資の冷え込みに繋がるリスクも孕んでいるでしょう。
私自身の見解としては、再エネの普及には市場原理の導入が不可欠であるものの、まだ成長段階にある風力発電には、急激な梯子外しにならないようなきめ細かな配慮が必要だと考えます。一律の制度廃止ではなく、発電方式ごとの習熟度に合わせた段階的な移行こそが、持続可能なエネルギー社会の構築に向けた、編集者として望む最善の道ではないでしょうか。
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