児童虐待防止の切り札?中核市の「児童相談所」設置を阻む壁と、求められる地域密着型の支援体制

2019年08月17日、子どもたちの安全を守るための重要な分岐点となる調査結果が明らかになりました。全国に58存在する中核市のうち、児童虐待の対応を担う「児童相談所」を設置済み、あるいは設置する意向を示している自治体は、わずか16%に留まっていることが中核市市長会の調査で判明したのです。相次ぐ悲しい事件を背景に、国は設置の拡大を急いでいますが、現場の自治体が抱える悩みは深く、一筋縄ではいかない現状が浮き彫りになっています。

SNS上では「地元の市役所に相談できる場所があるのは心強い」「県まで行かなくてもいいのはメリット」といった期待の声が上がる一方で、「財政が厳しい市に押し付けるのは酷ではないか」「専門的な知識を持つ職員を確保できるのか」という不安の声も目立ちます。中核市とは、人口20万人以上を目安に国から指定を受ける自治体のことで、本来は住民に最も身近な場所で行政サービスを行う役割を担っています。しかし、その責任の重さと運営の難しさが、各市の決断を鈍らせているようです。

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「県との重複」や「コスト」が足かせに?自治体が抱える切実な懸念事項

現在、児童相談所の設置が義務付けられているのは都道府県と政令指定都市のみであり、全国に215カ所が点在しています。2019年06月の法改正により、中核市や東京特別区でも設置が進むよう国が支援を強める方針が示されました。しかし、実際に設置を済ませているのは横須賀市、金沢市、明石市の3市のみです。奈良市が設置予定、豊橋市や鹿児島市など5市が検討中と回答したものの、多くの自治体は慎重な姿勢を崩していません。

否定的な意見の背景には、都道府県との役割分担が不明確になるという懸念があります。すでに県が拠点を置いている地域では、市が新たに施設を作ることで業務が重複し、非効率になる恐れがあるのです。さらに、虐待対応には、一時保護の判断や家庭への法的介入を行うための高度な専門知識を持った「児童福祉司」などの人材が不可欠です。こうした専門職の確保や、多額の運営費負担が、地方自治体の大きな重荷となっていることは否定できません。

私は、児童相談所の設置は単なるハコモノ作りであってはならないと考えます。中核市が運営する最大の利点は、住民の生活圏に近い「顔の見える支援」ができる点にあります。しかし、財政事情や人口規模が異なる各市に一律に設置を促すのではなく、国は財政支援の拡充や人材育成のバックアップをより具体的に示すべきでしょう。市長会は年内に報告書をまとめる予定ですが、子どもたちの命を守るネットワークをいかにして持続可能な形で作るのか、今まさに真剣な議論が求められています。

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