2019年08月21日、アメリカのエネルギー政策を揺るがす大きな動きがありました。カリフォルニア州をはじめとする21の州と一部の自治体が、トランプ政権が打ち出した新たな環境指針は違法であるとして、その無効を求める訴えを連邦控訴裁判所に起こしたのです。今回の提訴は、地球温暖化対策の「司令塔」とも言える規制の在り方を巡り、国と地方が真っ向から対立する異例の事態へと発展しました。
争点となっているのは、トランプ政権が推進する「安価で清潔なエネルギー(ACE)」ルールです。これは、石炭火力発電所から排出される二酸化炭素(CO2)の量を厳格に制限していた、オバマ前政権時代の「クリーン・パワー・プラン」を事実上撤廃し、規制を大幅に緩和する内容となっています。石炭産業の復活を掲げる政権側に対し、環境保護を優先する各州が「科学的根拠を無視した暴挙だ」と猛反発している形です。
ここで専門用語を解説しましょう。「クリーン・パワー・プラン」とは、全米の発電所からのCO2排出量を2030年までに32%削減することを目指した画期的な規制案でした。対して、今回提訴の対象となった新政策は、各州に削減目標の設定を委ねることで、古い石炭火力発電所の延命を可能にする仕組みです。SNS上では「気候変動が深刻化する中で逆行している」という厳しい意見がある一方で、「地域の雇用を守るためには必要だ」という声も上がっています。
私自身の見解としては、目先の経済利益や特定の産業保護のために、世界共通の課題である脱炭素化の歩みを止めるべきではないと考えます。一度緩和された環境基準を再び引き上げるには多大な時間を要するため、将来世代への責任を問われる決断になりかねません。カリフォルニア州などの原告側が「この政策は公衆衛生を危険にさらし、環境破壊を加速させる」と主張するのも、非常に論理的で切実な訴えであると感じられます。
今後、この法廷闘争はアメリカのエネルギー市場だけでなく、パリ協定離脱を表明している同国の国際的な立ち位置にも大きな影響を及ぼすでしょう。2019年08月21日の提訴を皮切りに、司法がどのような判断を下すのか、世界中の投資家や環境団体が固唾を飲んで見守っています。クリーンエネルギーへの移行という世界的なトレンドの中で、石炭回帰を目指す政権の姿勢が法的に認められるのか、その行方は予断を許しません。
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