働く私たちにとって、これほど心強いニュースはないかもしれません。2019年08月21日に厚生労働省が公表した最新の「雇用動向調査」によれば、前年である2018年に転職を果たした人のうち、なんと37.0%もの方々が、以前の職場よりも高い賃金を手に入れていることが判明しました。この数字は、比較可能な統計が残る2004年以降で最高の水準を記録しており、日本の労働市場が大きな転換期を迎えていることを如実に示しています。
特に注目すべきは、単なる微増にとどまらず、賃金が1割以上も跳ね上がったという人が全体の25.7%に達している点でしょう。4人に1人が大幅な年収アップを勝ち取っているという事実は、これまでの「石の上にも三年」といった古い価値観を打ち砕くインパクトがあります。かつての日本では、転職はキャリアにおけるリスクと見なされがちでしたが、現在では自らの価値を正当に評価させるための戦略的な手段へと進化を遂げているのです。
労働需給がもたらす「売り手市場」の正体とは?
こうした現象の背景には、深刻な人手不足に伴う「労働需給」の変化が深く関わっています。専門用語で「労働需給」とは、働きたい人の数(供給)と、雇いたい企業のニーズ(需要)のバランスを指す言葉です。現在の日本はこのバランスが大きく崩れ、企業側が喉から手が出るほど人材を欲している「売り手市場」となっています。優秀な働き手を確保するために、企業側もこれまでの賃金体系を維持するのではなく、より魅力的な条件を提示せざるを得ない状況です。
SNS上でも今回の発表は大きな話題を呼んでおり、「スキルがあれば会社に縛られる必要がないことが証明された」という前向きな声や、「実際に転職して月給が5万円増えた」といった具体的な成功報告が相次いでいます。一方で、人手不足を賃金アップという形で解決しようとする企業の姿勢に対し、今のうちに市場価値を高めておくべきだという自戒を含んだ投稿も見受けられました。多くのビジネスパーソンが、今の状況を自分自身のキャリアを底上げする絶好のチャンスと捉えているようです。
私自身の見解を述べさせていただくと、この変化は日本社会にとって非常に健全なプロセスであると確信しています。これまでの「日本型雇用」は、終身雇用を前提に個人のスキルよりも組織への忠誠心が重視される傾向にありました。しかし、労働需給が市場原理に基づいてダイレクトに反映されるようになったことは、個人の努力や専門性が正当に報われる時代の幕開けを意味します。会社に依存するのではなく、自分の市場価値を意識して生きることが、これからのスタンダードになるでしょう。
もちろん、ただ漫然と会社を移れば給料が上がるわけではありませんが、企業が必死に人材を探している2019年現在の状況は、挑戦する者にとってこれ以上ない追い風となっています。企業側も「選ぶ側」から「選ばれる側」へと立場が変わり、職場環境の改善や待遇の見直しが加速していくはずです。労働者が自らの意思でより良い環境を選択する動きが、結果として日本全体の生産性を押し上げ、より活力ある社会を築いていく原動力になることを期待して止みません。
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