自動車用ブレーキの国内最大手として知られる曙ブレーキ工業が、経営の抜本的な立て直しに向けた大きな一歩を踏み出しました。2019年08月26日、同社は新たなリーダーとして、元日本電産常務執行役員の宮地康弘氏(62歳)を社長兼最高経営責任者(CEO)に迎える人事を正式に発表したのです。長年同社を牽引してきた信元久隆会長兼社長(70歳)を含む3名の代表取締役は、2019年09月27日付で一斉に退任する運びとなりました。
この衝撃的なトップ交代劇は、インターネット上でも大きな話題を呼んでいます。SNSでは「ついにメスが入ったか」「永守イズムを継承する宮地氏なら、劇的なV字回復も期待できるのではないか」といった、驚きと期待が入り混じった声が数多く寄せられました。特に、かつては盤石だった老舗メーカーが直面している厳しい現状に対し、外部からの「新しい風」を歓迎する意見が目立っています。自動車業界全体が変革期にある今、この決断はまさに生き残りをかけた勝負と言えるでしょう。
宮地氏が身を置いていた日本電産といえば、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という強烈な経営理念で知られる企業です。今回就任するCEOとは「最高経営責任者」を指し、企業の経営方針の決定や執行を統括する最も重い責任を持つポジションを意味します。製造現場を知り尽くし、徹底したコスト管理とスピード感のある意思決定を得意とする宮地氏の手腕は、事業再生の真っ只中にある曙ブレーキにとって、喉から手が出るほど必要な要素だったに違いありません。
編集者としての視点から述べさせていただくと、今回の人事は「過去との決別」を象徴する極めて重要な転換点です。曙ブレーキはこれまで、北米事業の不振や検査不正といった幾多の困難に直面し、事業再生ADRという公的な手続きを通じて再建を目指してきました。慣例に囚われがちな組織文化を打破するためには、信元氏という創業家出身のカリスマから、あえて外部の、それも異文化を持つプロ経営者へバトンを渡すことが不可欠だったのでしょう。
2019年09月27日から始まる新体制では、これまでの慎重な姿勢から一転し、攻めの姿勢が求められるはずです。宮地氏が培ってきた日本電産流の徹底した合理化と、グローバルな競争力強化がどのように融合するのか、業界全体が固唾を飲んで見守っています。単なる赤字脱却に留まらず、次世代モビリティ時代に対応した技術革新をどう成し遂げるのか。曙ブレーキが再び「信頼のブレーキ」として輝きを取り戻す道のりは、まさにここから始まるのです。
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