日本の食文化が中東の地でさらなる広がりを見せようとしています。農林水産省は2019年7月26日、アラブ首長国連邦(UAE)が実施してきた日本産食品に対する輸入規制を、同日より一部緩和することを明らかにしました。2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故以来、厳しい検疫体制が続いていましたが、今回の決定は日本の食品安全性が国際的に高く評価された証といえるでしょう。
これまでは、福島県で生産されたあらゆる食品や飼料をUAEへ輸出する際、放射性物質の検査報告書を添付することが義務付けられてきました。しかし、今回の緩和措置によって、今後は福島県産の「水産物」と「野生の鳥獣肉(ジビエ)」に対象が限定されます。つまり、野菜や果物、加工食品などは検査証明書なしでスムーズに輸出できるようになるのです。こうした手続きの簡素化は、現地の日本食レストランや販売店にとっても大きな朗報となるはずです。
ここで専門用語について少し触れておきましょう。今回の規制の核となる「放射性物質の検査報告書」とは、食品に含まれる放射性セシウムなどが国の定める基準値以下であることを証明する書類のことです。また、「飼料」とは家畜の食べ物を指しますが、これらを含めた全品目への規制が解かれた意義は非常に大きいものです。SNS上でも「福島の桃や日本酒がもっと世界に届いてほしい」といった、産地を応援する温かい声が数多く寄せられています。
編集者としての視点から述べさせていただくと、今回の緩和は単なる事務的な手続きの変更に留まらない、深い信頼の回復を意味していると感じます。UAEは富裕層が多く、高品質な食材への需要が非常に高い市場です。福島県産の農産物が持つ本来の美味しさが、科学的な安全性の証明を経て、正当に評価されるステージが整ったのではないでしょうか。日本の生産者が丹精込めて作った食材が、砂漠の摩天楼で楽しまれる光景を想像すると胸が熱くなります。
今後、この流れが他国にも波及していくことが強く期待されます。世界各地で未だに残る輸入規制が一つずつ取り払われることは、被災地の復興を力強く後押しする原動力になるに違いありません。日本の「食」が持つポテンシャルは、私たちが考えている以上に世界を魅了する力を持っています。今回の2019年7月26日の発表を契機に、福島、そして日本全体のブランド力が世界で再構築されていくことを切に願ってやみません。
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