大規模な災害が発生した際、私たちの命綱となるスマートフォンが「圏外」になってしまう恐怖は計り知れません。そんな通信途絶の課題を解決すべく、京都府精華町に拠点を置く国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が、画期的な通信システムを開発しました。この技術は、インターネット回線が完全に遮断された過酷な状況下でも、特定のエリア内であれば家族や知人と連絡を取り合えるという、まさに救世主のような仕組みです。
2019年08月27日に発表されたこのシステムは、無線LAN(Wi-Fi)の技術を活用して、半径数十メートル程度の範囲で独立したネットワークを構築します。これまで避難所での情報共有といえば、壁に貼られた紙を確認するのが一般的でしたが、このシステムを導入すれば、自治体が発信するインフラの復旧状況などを個人のスマホで直接受け取れるようになります。情報のデジタル化により、混乱する現場での伝達スピードが劇的に向上するでしょう。
SNS上ではこのニュースに対し、「避難所で安否確認ができるのは心強い」「停電や断線に強いシステムは必須だ」といった期待の声が数多く寄せられています。特に、基地局が被害を受けて通信網が壊滅する可能性が指摘されている南海トラフ巨大地震への備えとして、多くの人々が関心を寄せています。持ち運びが可能なコンパクト設計でありながら、1回の充電で約10時間の連続稼働を実現している点も、現場での実用性を高く評価されている理由です。
ここで技術的なポイントとなる「ローカル通信システム」について解説しましょう。これは、全世界と繋がるインターネット網を経由せず、特定の空間だけで完結する通信網を指します。いわば、自分たちだけの専用チャットルームをその場に作り出すようなイメージです。外部と遮断されていても、このシステムさえあれば、近くにいる家族や友人と文字メッセージをやり取りすることが可能になります。情報の孤立を防ぐための非常に賢いアプローチと言えますね。
ATR波動工学研究所の坂野寿和副所長は、ネット環境が皆無の状態でも機能するエリア限定の通信インフラを整備することは、非常に有用であると強調しています。編集者としての私見ですが、この技術の普及は、災害時の心理的パニックを抑える鍵になると確信しています。人は「情報が得られない」ことに最も不安を感じるため、たとえ限定的なエリアであっても、確かな情報にアクセスできる環境があるだけで、被災者の心の支えになるはずです。
ATRは、今後5年後を目途に、1台あたり数十万円程度での実用化を目指す方針を示しました。主な導入先としては、地域の防災を担う自治体などが想定されています。1台数十万円という価格設定は、自治体の防災予算としても現実的な範囲内であり、全国の避難所に配備されることが期待されます。スマホ普及率が高い現代において、デバイスを選ばずに繋がる仕組みは、今後の防災スタンダードを大きく塗り替える可能性を秘めているでしょう。
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