皆さんは現在の時給に満足していますか?2019年6月13日現在、私たちの働き方に直結する「最低賃金」の議論が熱を帯びています。神津氏を中心とする労働側は、全国平均での時給1000円への早期引き上げを強く求めている状況です。これに対し、政府主導で2016年以降、毎年3%というペースで賃上げが続いてきた実績があり、今のところ雇用情勢は堅調に推移していると言えるでしょう。働く側としては嬉しいニュースですが、手放しで喜んでばかりもいられない複雑な背景があるのです。
一方で、経営側の視点に立つと景色は変わります。今後さらに上げ幅が拡大した場合、体力のない中小企業がそのコスト増に耐えられるかという切実な懸念があるからです。特に昨今は米中貿易摩擦が激化しており、景気の先行きには不透明感が漂っています。そのような状況下で、数字ありきの急激な賃上げを行うことは、かえって企業の首を絞めかねないという慎重論が出るのも無理はありません。ここで注目すべきは、先行して最低賃金の引き上げに取り組んだ海外の事例です。
英国の成功と韓国の苦悩、分かれた明暗
まず成功例として挙げられるのが英国です。1999年に最低賃金制度を復活させて以降、引き上げに注力してきましたが、驚くことに雇用への悪影響はほぼ見られませんでした。ニッセイ基礎研究所のデータによると、2019年は制度復活当初の2.3倍の水準になっていますが、経済成長率は日本の約2倍を維持しているそうです。これは、企業の「生産性向上」、つまり少ない労力でより多くの成果や価値を生み出す効率化が、人件費の増加をうまく吸収した結果だと言われています。
対照的なのがお隣の韓国の事例です。韓国では2018年に16.4%、2019年に10.9%と、2年連続で二桁という急激な最低賃金の引き上げを行いました。その結果、何が起きたでしょうか。企業の経営改善スピードが賃金上昇に追いつかず、逆に失業率が悪化するという皮肉な結果を招いてしまったのです。この二つの国の事例は、単に賃金を上げれば良いというものではなく、企業の稼ぐ力、すなわち生産性の向上とセットで進めなければ、経済に深刻なダメージを与えるという教訓を私たちに突きつけています。
SNSでの反応と編集部の視点
ネット上のSNSでも、この話題について様々な意見が飛び交っています。「時給が上がるのは生活が助かるから大賛成」「やっと先進国並みになるのか」という歓迎の声がある一方で、「バイト先のシフトを削られた」「馴染みの個人店が潰れないか心配」といった、急激な変化を危惧する声も少なくありません。現場で働く人々も、賃上げがもたらす副作用を肌で感じ取っているようです。
私自身、一労働者としては給料が上がることに異論はありません。しかし、三村氏が懸念するように「1000円」という目標数字だけが独り歩きし、実態を無視して突き進むのは危険だと感じます。日本の最低賃金が英独仏に比べて低いのは事実であり改善は急務ですが、それはあくまで企業の体力が伴ってこそです。政府による行き過ぎた誘導で経済の腰を折ってしまっては元も子もありません。2019年の今、私たちに必要なのは、速度よりも着実な成長とのバランス感覚なのではないでしょうか。

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