皆さんは街中やイベントで、愛らしい「ゆるキャラ」たちに癒やされた経験はありませんか?実はその多くが、宮崎市にある一軒の工場から生まれていることをご存知でしょうか。2019年5月28日、業界大手の「KIGURUMI.BIZ(キグルミビズ)」が、ブームの一巡を見据えた新たな経営戦略と、驚くべき職場改革で注目を集めています。
同社はこれまでに3,000体以上もの着ぐるみを世に送り出してきました。しかし、単なる製造メーカーではありません。加納ひろみ社長が掲げる「正しい商品は正しい場所から生まれる」というモットーのもと、女性スタッフたちが生き生きと働く「奇跡の工場」としても知られているのです。
「お母さんの手料理」を守るための改革
KIGURUMI.BIZの工場では、約30人の女性職人が生地の裁断や縫製、頭部の彫刻などを分担し、月間約20体の着ぐるみを製作しています。彼女たちが大切にしているのは、「向こう側の笑顔」と「こちら側の笑顔」という理念です。着ぐるみを見る子供たちだけでなく、作り手である自分たちも笑顔でいよう、という想いが込められています。
しかし、かつては過酷な労働環境がありました。「残業でおにぎりを食べる時間があるなら早く帰りたい」「遅いお迎えでお腹を空かせた子供に、手料理ではなくスーパーの惣菜を食べさせてしまう」。そんな悲痛な声が現場から上がっていたのです。そこで同社は金曜日を「ノー残業デー」にし、有給休暇も自由に取得できるよう改革を断行しました。
その結果は驚くべきものでした。改革に着手した翌年の2013年には、なんと売上高が前年比5割増、経常利益は2.7倍に跳ね上がったのです。残業代というコストが削減されただけでなく、スタッフの幸福度が生産性と品質の向上に直結した証明と言えるでしょう。
SNSでも称賛の嵐!「働き方改革」の本質
この取り組みに対し、SNS上では感動と称賛の声が相次いでいます。「経営者の鏡だ」「作り手が幸せだからこそ、あの優しい表情の着ぐるみが生まれるんだね」「利益もしっかり出しているのが凄い」といった反応が見られ、多くの人が同社の姿勢に共感していることが伺えます。
私自身、この事例は日本が進める「働き方改革」の理想的なモデルケースだと感じています。単に労働時間を減らすだけでなく、「作り手の幸せ」を製品の付加価値として捉え直した点が素晴らしいですね。技術や品質の高さは前提としつつ、そこに「心の余裕」が加わることで、誰かを幸せにする真のモノづくりが可能になるのではないでしょうか。
ブームの先へ、メイド・イン・ジャパンの挑戦
一方で、国内のゆるキャラブームはいずれ落ち着きを見せるでしょう。加納社長は次なる手として、海外展開と企業向け需要の開拓に力を入れています。すでに中国をはじめとする16の国と地域に製品を輸出しており、「高品質な日本製の着ぐるみ」への需要は世界中で高まっています。
特に企業のブランドイメージを左右するマスコットには、食品メーカーなどが求める「清潔感」や「美しさ」が不可欠です。安価な製品とは一線を画す、日本の繊細な職人技が光る着ぐるみは、今後さらに世界で重宝されることでしょう。宮崎から世界へ、幸せな工場が発信する「カワイイ」の快進撃は、まだ始まったばかりです。

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