北海道の食卓を支えるコンビニチェーン「セイコーマート」を展開するセコマが、北海道大学との産学連携によって驚くべき技術を導入しました。2019年08月29日、同社は野菜の鮮度を劇的に長持ちさせる新技術を自社倉庫で本格活用すると発表したのです。これは、野菜が自ら放出する「成熟を早めるガス」を分解することで、採れたての美味しさを維持する画期的な試みと言えるでしょう。
今回の取り組みの鍵を握るのは、北海道大学触媒科学研究所の福岡淳教授が2013年に開発した「シリカ担持プラチナ触媒」という最先端技術です。触媒とは、それ自体は変化せずに周囲の化学反応を促進する物質を指します。この魔法のような物質は、野菜が放出する「エチレンガス」に触れると、それを瞬時に水と二酸化炭素に分解する性質を持っています。SNSでも「大学の技術が身近なコンビニに活かされるのは胸熱」と大きな注目を集めているようです。
エチレンガスとは、野菜や果物が成長し熟していく過程で自然に発生する植物ホルモンの一種です。しかし、収穫後の倉庫内ではこのガスが充満することで、野菜の腐敗や劣化を早める原因となってしまいます。北大のプラチナ触媒は、なんと摂氏0度という低温環境でもこのガスを分解できるのが最大の特徴です。既に大手家電メーカーが冷蔵庫に採用している実績もあり、その信頼性は折り紙付きと言えますね。
実証実験で証明された驚異の鮮度保持能力
セコマグループでカット野菜や漬物を製造する北香(北海道北見市)の倉庫では、2019年06月から厳密な実証実験が行われました。触媒を設置した倉庫とそうでない倉庫で、野菜の劣化具合を比較したところ、その差は歴然だったそうです。特にキャベツや白菜などの葉物野菜において、みずみずしい食感の維持や変色の防止に劇的な効果が見られました。この確かな成果を受け、当初の予定を早めて9月からの本格導入が決定したのです。
私自身の見解としても、この技術は単なるコスト削減に留まらない社会的意義があると感じます。セコマは2007年から自社農場を運営しており、122ヘクタールもの広大な土地で多種多様な野菜を育てています。生産から加工、販売までを一貫して手がける同社にとって、流通過程での鮮度保持はまさに「命」です。テクノロジーの力で「まだ食べられる野菜」を捨てずに済む仕組みを作ることは、持続可能な社会への大きな一歩でしょう。
今後は滝川市や京極町にある他のグループ倉庫にも、このプラチナ触媒空調の導入が検討されています。2018年04月に締結された北大との連携協定は、健康アイスの開発や大学内への出店など、多方面で実を結んでいます。地域に根ざした企業と最高学府が手を取り合うことで、私たちの食生活はより豊かで無駄のないものへと進化していくに違いありません。北海道発のこの鮮度革命が、全国の食品流通を変えるきっかけになることを期待したいですね。
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