ビジネスの世界では、伝説の生き物に例えられたユニークな呼び名が注目を集めています。現在、評価額が10億ドルを超える未上場企業は「ユニコーン」と呼ばれますが、その10倍、つまり100億ドル(約1兆600億円)以上の価値を持つ超巨大企業を指す「デカコーン」という言葉をご存知でしょうか。これは国際単位系で10倍を意味する「デカ」を冠した造語で、2019年09月13日現在、世界にはわずか20社ほどしか存在しない極めて稀有な存在です。
SNS上では「未上場なのにこれほどの規模なのか」という驚きの声や、「日本からも早くデカコーンが出てほしい」といった期待が寄せられています。特に若者の間で爆発的な人気を誇る動画投稿アプリ「TikTok」を運営する中国のバイトダンスは、その筆頭格として知られています。同社の評価額は750億ドルに達しており、もはや既存の巨大企業を凌駕する勢いを見せています。こうしたネット関連のスタートアップが、次世代の経済を牽引する主役となっているのです。
デカコーンの顔ぶれを見ると、米国と中国の勢いが圧倒的であることが分かります。イーロン・マスク氏率いる宇宙開発ベンチャーのスペースXや、民泊仲介のエアビーアンドビーなど、私たちの生活や未来を変える企業が名を連ねています。また、東南アジアからも配車サービスのグラブやゴジェックが台頭しており、新興国の成長を象徴しています。これらの企業は、単なる規模の拡大だけでなく、既存の産業構造を根底から覆す破壊的なイノベーションを起こしています。
過熱する投資熱と上場後の厳しい現実
なぜ、これほどまでに巨大な未上場企業が続々と誕生しているのでしょうか。その背景には、世界的な金融緩和によってスタートアップ市場に膨大な資金が流れ込んでいるという実情があります。企業が「上場(IPO)」という手段を選ばずとも、未上場のまま潤沢な資金を調達できる環境が整ったのです。投資家たちは、現在の赤字よりも将来の爆発的な成長性に賭けており、その期待感が企業評価額をかつてないほどに押し上げる要因となっています。
しかし、こうした「デカコーン狂騒曲」には警戒の目も向けられています。2019年09月13日現在の状況を見ると、鳴り物入りで株式を公開した米ウーバーテクノロジーズのように、上場後に評価額が急落するケースが相次いでいます。これは、市場が求める収益性と、未上場時の高い評価額の間に乖離があることを示唆しています。投資家たちの視線は、単なる成長性から「持続可能な利益を出せるのか」というシビアな現実へと移りつつあるのです。
編集者としての私の視点では、デカコーンの台頭は経済のダイナミズムを感じさせる一方で、一種の「バブル」に近い危うさも孕んでいると感じます。ウィーカンパニーのようなシェアオフィス事業が高い評価を得る一方で、そのガバナンスが問われるなど、急成長の裏にある歪みも無視できません。単なる数字の大きさに惑わされることなく、その企業が社会に対してどのような価値を提供し続けるのか、私たちはその本質を見極める審美眼を養う必要があるでしょう。
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