スマートフォン向け液晶パネルの製造を手がけるジャパンディスプレイ(JDI)の経営再建を巡り、大きな動きがありました。同社は2020年01月08日、これまで金融支援を仰いでいた企業連合「Suwaインベストメントホールディングス」に対し、出資契約の解除を通告したことを明らかにしています。
もともと両者は2019年04月に総額800億円規模の支援契約を締結していました。しかし、約束されていた2019年12月末の期限を迎えても具体的な出資が履行されなかったため、JDI側が今回の苦渋の決断に踏み切った模様です。
ネット上では「ようやく泥沼の交渉に見切りをつけたか」「次の支援先に期待したい」といった、JDIの決断を前向きに捉える声がSNSを中心に数多く上がっています。これまでの不透明な状況から一歩前進したことで、市場の関心も再び高まっているようです。
相次ぐ海外ファンドの離脱とJDIの苦悩
これまでの道のりは、まさに波乱万丈の一言に尽きます。2019年04月の契約後、Suwaを構成していた台湾の2企業が2019年06月に突然離脱を表明しました。その後、2019年08月に中国のファンドを中心とした体制で契約を再締結したものの、その中国ファンドも2019年09月末に離脱を通知するという異例の事態に陥っていたのです。
実質的な白紙撤回が続いていた中での契約解除ですが、JDIの菊岡稔社長は「Suwaの資金調達への尽力には深く感謝している」と言葉を寄せています。相手の立場を尊重しつつも、次の一手へ進む強い意志が感じられるコメントではないでしょうか。
いちごアセットマネジメントとの新たな夜明け
JDIは次のステップとして、独立系投資顧問会社である「いちごアセットマネジメント」との間で、本格的な金融支援の最終契約に向けた話し合いを進めています。投資顧問会社とは、豊富な知識を持つ専門家が顧客の資産運用に対して助言や管理を行う企業のことで、資金力や再生ノウハウにおいて大きな期待が寄せられる存在です。
すでに2019年12月の段階で、JDIはいちごアセットとの間で800億円から900億円規模の支援を受ける基本合意に達しています。2020年01月中には最終的な契約を交わし、2020年02月から03月にかけて資金を受け取る見込みとなっており、非常にスピーディーな展開が期待できるでしょう。
いちごアセット側もメディアの取材に対して、契約の最終手続きである「クロージング」に向けて前向きに取り組んでいると回答しました。これだけ前向きな姿勢が示されていることは、JDIにとって大きな救いであり、再生への強力な追い風になるに違いありません。
過去の不適切会計疑惑が残す一抹の不安
ただし、手放しで楽観視できない問題も残されています。JDIでは現在、過去の決算において製品の在庫を実際よりも多く見積もって計上していたという不適切会計の疑いが浮上しており、第三者委員会による厳正な調査が進められている最中です。
この調査結果次第では、今回計画されている支援のスケジュールそのものに遅れが生じるリスクをはらんでいます。企業の信頼回復には透明性の確保が不可欠ですから、まずはこの疑惑を完全にクリアにすることが、新体制への移行に向けた最優先課題となるはずです。
日の丸液晶の砦として日本の技術力を支えてきたJDIには、何としてでもこの危機を乗り越えてほしいと切に願います。今回のパートナー刷新を機に、古い体質と決別し、一刻も早く健全な経営基盤を取り戻すことを期待してやみません。
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