JDIが陥った過去最大の最終赤字1086億円、崖っぷちの再建計画とApple支援の行方

日本の液晶パネル産業を牽引してきたジャパンディスプレイ(JDI)が、かつてない苦境に立たされています。2019年11月13日に発表された2019年4月〜9月期の連結決算によれば、最終損益は1086億円という巨額の赤字を記録しました。前年同期の95億円から大幅に悪化しており、これで6期連続の赤字となります。SNSでは「日の丸液晶の終焉か」といった厳しい声や、技術力の維持を願う切実な意見が飛び交い、大きな注目を集めている状況です。

売上高については、前年比11%増の2377億円と一見好調に見えます。これは主要顧客である米アップル向けの液晶パネル需要が回復したためですが、中身は決して楽観視できません。製品を作るためのコストが販売価格を上回る「売上総利益」の段階ですでに赤字となっており、売れば売るほど資金が減っていくという過酷な構造に陥っています。工場の減損処理や大規模なリストラ費用も重なり、負債が資産を上回る債務超過額は1016億円まで拡大しました。

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主力製品のシフトと綱渡りの資金繰り

JDIは巻き返しを図るため、2019年11月中に提供を開始する「Apple Watch」向けの有機ELパネル増産などに注力し、下期での黒字化を狙っています。ここで言う「有機EL」とは、バックライトを必要とせず素子自体が発光するディスプレイのことで、薄型化や鮮明な色彩が特徴の次世代技術です。しかし、現状の資金繰りは官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)やアップルからの支援に依存しており、まさに綱渡りの経営が続いていると言わざるを得ません。

筆頭株主であるINCJは2019年8月〜9月にかけて400億円の追加融資を断行しました。また、アップルも債務返済の猶予や支払いの前倒しといった異例の配慮を見せています。しかし、抜本的な解決策となる資本増強、つまり外部から新たな出資を受けて経営基盤を固める計画は難航しています。関係者からは、債務超過の状態が続く限り、取引先からの信用不安を完全に拭い去ることは難しいとの懸念が漏れており、一刻も早い体制の確立が求められます。

揺らぐ支援枠組みと見えない再建の出口

期待されていた中国の嘉実基金管理グループによる支援は、2019年9月末に離脱の通知が届いたことで事実上の白紙状態となりました。JDI側は交渉を継続していると説明していますが、交渉関係者の間では元の枠組みへの復帰は困難であるとの見方が強まっています。編集者としての私見ですが、特定の巨大顧客や海外資本の動向に左右されすぎる現在の構造は極めて危うく、独自の強みを早期に再定義しなければ、再建の道筋はさらに険しいものになるでしょう。

現在、菊岡稔社長は「長期投資を前提とした独立系の民間ファンドと対話を進めている」と明かし、2019年12月を目途に新たな支援枠組みの構築を目指しています。約218億円を拠出する意向のアップルを含め、バラバラになったパズルを組み直す作業が続いていますが、資産査定や条件面での調整は予断を許しません。日本のディスプレイ技術が今後も世界で輝き続けられるのか、私たちは今、まさにその歴史的な分岐点を目撃しているのかもしれません。

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