2019年11月13日、日本の製造業を牽引してきた東芝が、大きな転換点を迎えました。同日に発表された2019年4月から9月期の連結決算説明会において、車谷暢昭会長兼CEOは、東芝プラントシステムを含むグループ3社の完全子会社化を電撃的に表明したのです。これは単なる組織再編ではなく、長らく続いた「再建モード」から「攻めの投資」へと舵を切る、力強いメッセージとして受け取られています。
車谷会長が強調したのは、グループ全体の総力を結集させることで生まれる「シナジー」の最大化です。シナジーとは、複数の事業が連携することで、単体での活動以上の効果を生む「相乗効果」を指します。SNS上では、この大胆な経営判断に対して「東芝の本気度が伝わってくる」「バラバラだった組織が一つになることで、かつての輝きを取り戻せるのではないか」といった期待を寄せる声が数多く上がっています。
私が今回の決定で注目すべきだと感じるのは、安易な切り売りではなく「取り込む」という選択をした点です。近年の東芝は非中核事業の売却を加速させてきましたが、今回対象となった3社は東芝にとって文字通り「不可欠な存在」であると断言されました。もしこれらの事業を外部へ放出してしまえば、本体の事業継続に支障をきたすという判断は、非常に合理的であり、地に足の着いた戦略だと言えるでしょう。
収益性の飛躍的向上と「ROS5%」という厳格な基準
今回の完全子会社化は、株主への還元という側面でも極めて強力な一手となります。車谷会長は、この施策によって2020年度の1株当たり純利益(EPS)が21%も改善するとの見通しを語りました。EPSとは、企業の稼ぐ力を1株あたりで示した指標であり、これが向上することは投資家にとって大きな魅力となります。単なる自社株買いよりも、事業基盤を固める投資の方が価値を生むという自信が伺えます。
一方で、東芝内部には今後さらなる緊張感が走りそうです。車谷会長は、事業継続の判断基準として「売上高利益率(ROS)5%」という数値目標を新たに掲げました。ROSとは、売り上げに対してどれだけ効率的に利益を出せているかを示す収益性の指標です。2020年度中にこの基準に達しない、あるいは改善の見込みがない事業については撤退も辞さないという、極めてシビアな姿勢を明確に打ち出しています。
この改革の背景には、2019年度に予想を上回るペースで悪化した半導体市況の影響もあります。苦しい局面だからこそ、調達改革や営業改革を緩めず、5年間で1000億円という巨額のコスト削減を確実に実行する覚悟なのでしょう。かつての巨大組織が、効率性を重視する筋肉質な企業体へと生まれ変わろうとする姿は、多くの日本企業にとって一つの指針になるに違いありません。
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