ニッセンが特大サイズ衣料で逆襲!アマゾンやユニクロの隙間を突く「ニッチ戦略」で7期ぶり黒字化へ

カタログ通販の老舗として知られるニッセンホールディングスが、いよいよ長いトンネルを抜けて復活の狼煙を上げようとしています。同社は2019年07月05日、不採算事業の整理といった経営再建に一定のメドが立ち、2020年02月期には実に7期ぶりとなる連結営業黒字を達成する見通しであることを明らかにしました。巨大資本のアマゾンや圧倒的なシェアを誇るユニクロが手を出せていない「空白地帯」に照準を合わせ、独自の戦略で反攻を開始します。

親会社であるセブン&アイ・ホールディングスが2019年07月04日に発表した決算数値を見ると、その手応えは確かなものといえるでしょう。ニッセンの2020年02月期第1四半期における連結営業利益は、前年同期の2倍となる1億3000万円を記録しました。売上高こそ事業縮小の影響で前年比42%減の102億円となりましたが、長年進めてきたリストラが実を結び、悲願である年間10億円の黒字化に向けて非常に順調な滑り出しを見せています。

ネット通販の急速な普及に押され、2019年02月期まで6期連続の赤字に苦しんできた同社ですが、その再生への道のりは険しいものでした。2014年のセブン&アイ傘下入り後、完全子会社化を経て上場を廃止し、宝飾品販売などの子会社5社を手放すという苦渋の決断を迫られたのです。同時に、紙のカタログを14年比で10分の1以下に削減し、コストを抑えつつ電子商取引(EC)へと舵を切る「構造改革」を徹底して推し進めてきました。

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ニッチな「特殊サイズ」こそが勝利の鍵!参入障壁を武器に変える

リストラという守りの姿勢を終え、次なる一手として掲げるのが「特殊サイズ衣料」の強化です。これはLL以上の大きなサイズや、背が極端に高い、あるいは低いといった、標準的な体型から外れた方々に特化した服作りを指します。SNSでは「店舗ではサイズがなくて困っていたから本当に助かる」「ニッセンなら自分に合う服が見つかる安心感がある」といった切実な声が寄せられており、ニッチながらも熱狂的な支持層が存在しています。

この戦略の指揮を執るのは、2019年03月に就任した羽渕淳社長です。羽渕社長は、かつてニッセンの看板ブランド「スマイルランド」を立ち上げた立役者であり、誰よりも特殊サイズの市場を知り尽くしています。社長就任と同時に、若年層向けの大きいサイズ通販を展開する「マロンスタイル」を買収したことからも、攻めの姿勢が伺えます。これまでの「カタログ通販のニッセン」から「特殊サイズならニッセン」というブランドイメージの刷新を図っています。

羽渕社長は、特殊サイズ衣料は在庫の予測が極めて難しく、他社の参入障壁が高い分野であると分析しています。ここで言う参入障壁とは、新規の競合他社がその市場に加わることが困難な要因のことです。ニッセンは長年の顧客データから、どの商品がどれだけ売れるかを精緻に予測するノウハウを持っており、これが大きな強みとなります。在庫を抱えすぎるリスクや、逆に欠品させてしまう機会損失を防ぐ技術こそが、収益の源泉なのです。

特筆すべきは、その高いリピート率でしょう。衣料品全体の顧客のうち、4L以上のユーザーはわずか8%にとどまりますが、なんと衣料分野の利益の約5割をこの層が稼ぎ出しています。一度自分にぴったりの服を見つけたお客様は、その後も継続して購入してくれるロイヤルティ(忠誠心)が非常に高いのです。今後は、さらに個別のニーズに応えるため、二の腕や首周りをゆったりさせた4L以上の商品を拡充し、メンズ向けブランドも強化していく方針です。

もちろん、課題も残されています。大規模なリストラを経て売上規模はピーク時の5分の1にまで縮小しており、単なるニッチ戦略だけでは成長に限界があるでしょう。専門家からは、親会社であるセブン&アイとの連携がまだ不十分であるとの指摘も出ています。決済システムやマーケティング、共同の商品開発など、グループの資源をどれだけ活用できるかが、単なる「復活」を超えた「再飛躍」への決定打になることは間違いありません。

個人的な視点ではありますが、現代のファッション業界が効率を求めるあまり「平均的な体型」ばかりを重視する中で、ニッセンのこの試みは非常に人間味があり、社会的意義も大きいと感じます。服は本来、着る人の個性を引き立て、自信を与えるものです。誰しもがファッションを自由に楽しめる環境を整えることは、ビジネスとしての成功だけでなく、多様性を認める社会への貢献にも繋がるはずです。同社の挑戦が、新たな市場の形を示すことを期待しています。

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