現代のビジネスシーンにおいて、デジタル対応を含めたマーケティングの重要性はかつてないほど高まっています。経営の中核にマーケティングを据える企業が着実に増える一方で、現場では一貫性のない人事異動や優秀なスタッフの流出といった課題が後を絶ちません。こうした閉塞感に一石を投じるべく、2019年03月に産声を上げたのが「マーケターキャリア協会(MCA)」です。若い世代を中心に、専門性を磨き合う熱いコミュニティが今、大きな注目を集めています。
発起人の中村全信さんは、マスコミからIT業界への転身という異色の経歴を持つ人物です。彼が抱いた疑問は、クリエイターには明確なキャリアパスがあるのに、なぜマーケターにはそれがないのかという点でした。企業に属するマーケターは、専門性を極める前に他部署へ異動してしまうことが多く、目指すべきロールモデルも見当たりません。こうした現状を変えたいという中村さんの熱意に多くの専門家が共鳴し、この協会が設立される運びとなったのです。
可視化と支援で築く、プロフェッショナルとしての確固たる地位
MCAが掲げるミッションの一つは、マーケティングの貢献度を「可視化」することです。多くの企業で、宣伝広告部門は単に予算を消費する「コストセンター」と見なされがちです。しかし、本来マーケティングは利益を生み出す源泉であり、その価値を正しく評価される必要があります。協会では、成功事例を積極的に発信することで、企業の認識を変える取り組みを準備しています。これによって、マーケターが誇りを持って働ける環境が整うでしょう。
二つ目の柱は、個人のキャリア構築支援です。日々の業務に追われる中で、自分のスキルを整理する機会は意外と少ないものです。そこでMCAでは、自分の強みや経験を棚卸しする機会を提供しています。転職を目的とするのではなく、現在の自分を客観的に見つめ直すことで、プロとしての自覚が芽生えるはずです。SNSでも「自分の価値を再定義できた」といった好意的な意見が散見され、自身の立ち位置を確認したい若手にとって、待望の場となっているようです。
三つ目のミッションは、未経験者も対象としたマーケティング思考の育成です。最新のデジタルノウハウを交えたワークショップやセミナーは非常に盛況で、無料会員数は既に750人を超えています。特筆すべきは、2019年07月に東京都新宿区で開催された女性マーケター向けのイベントです。パナソニックの山口有希子さんやクレディセゾンの栗田宏美さんといった第一線で活躍する方々が登壇し、参加者に大きな勇気を与えました。
幸福を分かち合うマーケティングが、日本企業の未来を照らす
イベントの最後に行われた名刺交換会では、多くの女性たちが「明日から頑張れる」と晴れやかな表情で語っていたのが印象的でした。男性の上司が女性の部下を連れて参加する姿もあり、世代や性別を超えて共に学ぼうとする姿勢には胸を打たれます。また、「マーケターとしての幸福」を議論する独創的なワークショップも行われました。自分自身の幸せを追求することは、結果として消費者の幸福を深く考えることにも繋がり、これからのビジネスに不可欠な視点となるでしょう。
私は、企業が消費者と幸福感を共有することが、今後ますます重要になると確信しています。既存の組織体制を嘆くのではなく、自ら道を切り拓こうとするこうした私設勉強会の広がりは、日本企業の未来にとって非常に明るい兆しです。デジタルとアナログを俯瞰して学べる場は、これからの時代を生き抜くための武器になります。プロとしての誇りを持ち、互いに高め合うマーケターたちの挑戦を、編集部としても全力で応援していきたいと考えています。
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