北日本紡績株式会社が2020年2月7日に発表した通期業績予想の下方修正が、経済界やSNSで大きな波紋を広げています。同社が明かした2020年3月期の単独最終損益は、当初の4000万円の赤字予想からさらに膨らみ、5000万円の赤字に落ち込む見通しとなりました。売上高こそ前期比28%増の5億8000万円を計画しているものの、本業の儲けを示す営業損益は7500万円の赤字へ転落する見込みです。売上増の裏で利益が削られる厳しい現実に、直面しています。
今回の業績悪化を招いた最大の要因は、主力の紡績事業における受注の大幅な落ち込みにあります。さらに、保有する土地や工場などの価値を帳簿上で引き下げる「固定資産の減損」が発生したことも、赤字幅を拡大させる決定打となりました。減損とは、投資した資産から十分な収益が得られなくなった際、その損失をあらかじめ業績に反映させる会計処理のことです。この手続きにより、将来の痛みを先出しした格好ですが、目下の経営状態の厳しさを物語る結果といえるでしょう。
個別の事業に目を向けると、最先端の「アラミド繊維」が自動車業界の生産減速のあおりを受けて苦戦しています。アラミド繊維とは、熱に強くて非常に頑丈な高機能プラスチック繊維であり、自動車のブレーキパッドやタイヤの補強材などに使われる重要な素材です。世界的な自動車市場の停滞が、こうした高付加価値製品の需要を直撃した形になりました。これにはSNS上でも「自動車の不調が素材メーカーにまで波及している」と、日本のものづくりの先行きを懸念する声が上がっています。
追い打ちをかけるように、アパレル向け繊維も歴史的な暖冬の影響で冬物衣料の買い控えが起こり、受注が激減しました。気候変動という予測困難なリスクが、老舗の紡績ビジネスを大きく揺るがしているのです。私は、今回の赤字拡大を単なる一企業の不調として片付けるべきではないと考えます。環境変化への柔軟な適応や、特定の産業に依存しない多角的なリスク分散がいかに重要であるかを、このニュースは私たちに強く警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。
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