いすゞ自動車が2度目の業績下方修正!タイや海外市場のトラック低迷と自動車ローンの厳格化が響く

日本の物流を支える自動車メーカーのいすゞ自動車から、厳しい財務状況が明かされました。同社は2020年2月7日、2020年3月期の連結純利益が従来の予想からさらに落ち込み、前期と比べて25%減少した850億円になりそうだと発表したのです。実は今回の下方修正は今期で2度目となっており、当初の見込みよりも深刻な状況が伺えます。ネット上でも「あのいすゞが苦戦するなんて世界的な景気減速のサインか」といった驚きや心配の声が数多く上がっている状況です。

今回の業績悪化を招いた最大の要因は、同社にとってのドル箱であるタイ市場での大苦戦にあります。現在、現地の個人向けピックアップトラックの販売が大きく落ち込んでいるのです。タイ経済は今、個人の借金にあたる「個人債務」が膨れ上がっており、これ以上の自己破産を防ぐために金融機関が自動車ローンの審査を大幅に厳しくしています。結果として車を買いたくても買えない人が続出し、市場全体の購買意欲が冷え込んでしまいました。

影響はタイの個人向け車両だけにとどまらず、海外全域における商用トラックの需要も冷え切っています。特にインドネシアなどの資源国では、石炭や鉱物といった資源価格の変動によって景気が一気に悪化しました。企業が新たな設備投資を控えているため、物流の主役であるトラックの売れ行きが大きく低迷しているのです。このような世界規模での商用車離れは、グローバルに展開する同社の収益を直撃する形となりました。

さらに追い打ちをかけるのが、建設機械(建機)向けの産業エンジン事業です。いすゞは他社にエンジンを供給していますが、主要な取引先である日系メーカーが中国市場での競争に敗れ、シェアを落としています。現在、中国は巨大なインフラ投資を進めているものの、そこで自社エンジンが選ばれない事態は痛手でしょう。企業として徹底的なコスト削減には取り組んでいますが、押し寄せる減収の波を補うには到底至っていないのが実情です。

同日には2019年4月1日から2019年12月31日までの連結決算も公表され、純利益は前年の同じ時期と比べて28%減の674億円という厳しい結果でした。筆者は、この苦境を乗り越えるためには単なるコストカットだけでなく、次世代の環境技術や自動運転といった新たな付加価値への大胆なシフトが必要だと考えます。新興国経済の波に左右されやすい構造から脱却し、攻めの姿勢で再び世界をリードする姿を期待したいところです。

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