自動車部品の製造を手がけるタツミが、2019年08月06日に発表した同年04月から06月期の連結決算において、最終損益が8500万円の赤字に陥ったことが明らかになりました。前年の同じ時期には8800万円の黒字を確保していただけに、今回の結果は市場に大きな衝撃を与えています。SNS上では「自動車産業の冷え込みが予想以上に深刻だ」といった懸念の声や、「円高の影響がこれほどまでに出るとは」という驚きの投稿が相次いでおり、業界全体の先行きを不安視するムードが広がっています。
今回の業績悪化の背景には、世界経済を牽引する米国と中国での自動車販売が急激に失速したことが挙げられるでしょう。主要市場での需要減退により、同社が供給する部品の受注も目に見えて減少してしまいました。企業努力として人件費などのコスト削減に取り組んでいるものの、急激な受注の落ち込みをカバーするには至らなかったのが実情です。また、外貨建て資産の価値が目減りする「為替差損」が発生したことも、利益を大きく圧迫する要因となりました。
ここで専門用語について少し触れておきましょう。「為替差損」とは、円高が進むことで、海外取引で得た外貨を日本円に換算した際に生じる損失を指します。グローバルに展開する製造業にとって、1円の変動が数千万円規模の利益消失に直結することもあり、非常に恐ろしいリスクといえます。さらに売上高に関しても、前年同期比で35%減の16億円と大幅に縮小しました。これは純粋な需要減に加え、海外の子会社が行った決算時期の調整による一時的な売上増が消失したことも影響しています。
営業利益についても、前年同期の1億1200万円の黒字から、今回は8300万円の赤字へと転落する厳しい内容となりました。2020年03月期の通期業績予想については現時点で据え置かれていますが、依然として厳しい航海が続くことは間違いありません。私個人の見解としては、タツミのような技術力のある部品メーカーが苦戦を強いられている現状は、日本の基幹産業である自動車業界全体が直面している構造的な課題を浮き彫りにしていると感じます。
現在は米中貿易摩擦などの地政学的リスクが重なり、為替も不安定な状況が続いています。しかし、こうした逆風の時期こそ、次世代のEV(電気自動車)シフトや自動運転技術への対応など、未来への投資をいかに継続できるかが企業の真価を問うのではないでしょうか。目先の赤字に萎縮せず、効率化と技術革新を両立させるタツミの次なる一手に期待したいところです。投資家や業界関係者も、今後の世界情勢の変化が同社の受注にどう反映されるのか、注視していく必要があるでしょう。
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